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爺放談


 ■ 2014/04/08 (火) 上海にて・・・B


上海での高級日本料亭での食事は驚くほど美味であった。

お刺身に至っては諸説色々とあるが私の印象では日本の料亭にも負けずとも劣らない質であると思った。


「腹ごしらえも出来たしそろそろ次行くか!」


私はその社長の言う「次」が、ここからが本当の上海の夜を指して言った言葉であると暗に感じ取っていた。


中国では基本的には日本で言う「風俗」は違法である。

しかし実際は当たり前だがそんなことはない。

社長が連れて行ってくれたところはいわゆる「カラオケBOX」だった。

その日本料理店からほど近い所にそのお店はあった。

高層ビルの入り口から地下へ長いエスカレーターを降りると受付カウンターがあり、社長はそこの従業員か責任者かの人に手を挙げる、するとその従業員は全てを把握しているかのように受付から更に入り組んだ奥の方へと私達を案内した。

暗い通路を経て、ある一室に私達を招き入れた。

そこは日本にあるようなカラオケBOXとは少し違った。

まず部屋の広さが全く違う、長方形の部屋はおおよそ30畳ぐらいの広さで、辺の長い壁際の一辺にのみソファーが一文字にあり、その対面の壁にはソファーなど何も無く、ただ壁に大型モニターが埋め込まれている。

部屋の隅に小型のカラオケ用の機会がおすそ分け程度にあり、この部屋の中はもはやカラオケを楽しむような雰囲気では無いことがありありと分かる。

そしてしばらくして驚くべきことが始まった。

部屋の壁際の長いソファーに腰掛けていた私の眼前に、「おじゃましま〜す!」と次から次へと女の子がぞろぞろぞろぞろと入った来るのだ。

見る見るうちにダダ広い部屋の空間が女の子で埋め尽くされていくのだ。

もちろんこの女の子達の格好は露出度が高く、胸は強調され、超ミニの格好をした女の子達が次から次と所狭しと入って来る。

私はこの出来事にしばし何の声も出ず、ただただぼ〜っと眺めていた。

「おい!○○君 早く誰かを指名しなさい!」

「は・・はい?」

「君が指名しないと女の子が全員他に行けないだろ!」

「あっ!は・はい!」

社長に促されて私はまじまじと女の子達を見た、すると女の子達の腰あたりにナンバーの入った名札が各々にある。

しかしこれだけ多いとどの娘を選んでいいのかわからなくなる。

私の眼前には色とりどりの衣装をまとった部屋所狭しと大勢の女の子達全員が私の目を一斉に見つめてくる。

なにか美女コンテストの審査員?それとも人身売買の悪徳ブローカー?ま〜どちらにしても何十何百の女性達からの熱い視線は妙な高揚感を与える。

そんなこんなしている中で私はある一つの事を思いついた。

せっかく選んでもコミュニケーションが取れなければ楽しくない。

私はまずは日本語が喋れる娘を選ぼうと思ったと同時に、こうすればもっと範囲を狭めれるので選びやすいと思ったからだ。

「この中で日本語が喋れる人は手を挙げてください!」

女の子達が手を挙げだした。

するとどうだ!この大勢の中のほとんどが手を挙げるではないか!

なんだこれは!結局私は範囲を減らす作戦は失敗し適当に可愛い娘を選んだ・・・


ここで少しこのカラオケBOXについて説明する。

ここはカラオケBOXとは名ばかりの女の子持ち帰り自由のデートクラブに当たる所だ。

もちろんカラオケ設備は整っているのでカラオケを純粋に楽しんでもいいのだがそんな客はほぼ居ない。

料金体系(日本円で)は2年前はカラオケBOX使用料は約4〜5千円、カラオケBOX内での女の子指名料は無料、時間は閉店まで。

要するにカラオケBOX内であればBOX使用料のみで女の子と一緒に遊んで歌えるシステムで、少々のおさわりぐらいは女の子次第だがOKだそうだ。

そしてお持ち帰りの場合、朝までで一人約一万円だった。

ちなみに持ち帰り料金、すなわちSEXする料金で、仮にSEXが無くただ女の子と外で遊ぶ場合は女の子次第だがOKを貰えば料金は発生しない、いわゆる日本では「アフター」と呼ぶ行為になる。

しかし現在はカラオケBOX使用料 約1万5千円、女の子指名料 一人約6千円 カラオケBOX内ではこれで閉店まで居る事が出来る。

持ち帰りはショートとロングに分けられ、ショートは約3時間で一人3万6千円 ロングは朝までで 一人8〜10万円

なんとたった2年でここまで高騰している。

これはどれだけ上海が好景気かを物語る。

今回、私のBOXに集まった大勢の女の子達、数を聞いたら約400名だそうだ。

しかもこの数は少ない方で、いつもは800名以上いるそうだ。

もちろんこんな数はいっぺんには入りきらない、だから一定数の女の子達が順番に部屋に入って指名してもらうまでぐるぐる回転していくらしい。

また、彼女達はこのカラオケBOXから雇われてる訳ではなく、皆フリーの女の子達で、そのほとんどは前回記述した「盲流」と言われている立場の娘達で、彼女らの収入は指名料と持ち帰りされた場合の料金で、彼女達の取り分は各々がカラオケBOX側と交渉するシステムだそうだ。

要は、カラオケ側が彼女達に箱を提供し、彼女達はそこで働かさせてもらう分使用料をカラオケ側に支払うといった具合だ。

しかし彼女達はそれほど簡単には稼ぐ事が出来ない、なぜなら圧倒的な数の多さで下手をすれば丸一日一件の指名も取れないことがざらにあるという。

更に言うなら、容姿に自信の無い娘や接客が下手な娘、会話が下手なんて事は致命的で、そのような娘は何日そこで働いても1円にもならない。

だからそんな娘達はここでの仕事を諦め辞めて行かざるを得ない、こうなると必然的に残った娘は可愛い娘ばかりになる。

確かに今回、私の眼前に並んだ大勢の女の子達は全てと言っていいほど魅力的な娘が多く、だからこそ余計に簡単には指名が出来なかった。

しかし可愛いだけではそうは簡単に指名は取れない、それはそうである、何せ800名も可愛い娘がいれば800分の1の確立だ、だから彼女達は一度指名をもらったらそのチャンスを最大限生かそうとする。

彼女達は基本フリーだ、だからプライベートも大いに利用する。

私の様な初めて上海に来た人達には観光案内を買って出たり、昼間に何とか会って親密度を上げ、再度来店を促し指名してもらおうと必死なのだ。

昼間に会う事は彼女らにとってなんの収入にもならない、しかしその様な行為を経て好印象を持たせ、私等の様な人達に指名を貰い、さらに滞在期間は全て一緒に過ごそうとまで言ってくる。

彼女らの収入は指名料と持ち帰り料金だけだ、取り分け持ち帰り料金は金額が張る、朝までなら一気に10万円だ。

金額が金額だけになかなかここへは持ち込めない、だから彼女達は必死に接客を昼も夜もこなす。

それともう一つ、彼女等のもう一つの思惑がある。

それは日本人男性と結婚をすることだ。

彼女等「盲流」は「戸籍」が欲しい、これを日本人と結婚し、彼女らの憧れである日本に行き、しかも日本人として戸籍も手に入れれば彼女らの思い全てが成就する・・・



上海滞在中一日だけ私は社長等とは別に一人で上海の夜を過ごしてみたく、その時、このカラオケBOXに行った。

そして実際私もこの娘達の一人と夜を案内して頂いた。

その時は持ち帰りではなくただ単純に上海の夜を案内してもらったのだ。

前述したがいわゆるアフターだ。

最初に入ったお店がカウンターバーのような店だった。

店内は薄暗く、大人の雰囲気の落ち着いたバーであった。

この時にその彼女から色々なことを聞いた事が上記の内容だ。

彼女曰く、


「稼いでいる娘は一月200〜300万稼いでいる娘がいる。」

「私ももっと頑張って早く家が欲しい」


多分この時、彼女はアフターを通して私と性交渉を持ちたかったのだろう、しかし私はこの時彼女の期待には答えられなかった、次の日の仕事に影響がでそうだったからだ。


「この写真を見てください」

「?」


携帯の写真を私に見せてきた。


「この娘は私の友人で一緒にこのカラオケBOXで働いていたんです。」

「へ〜、で?」

「この娘は今 日本で暮らしてます。」

「へ〜・・」

「お店で知り合った日本人男性と結婚して日本人として暮らしてます」

「・・・」

「羨ましいです、私も日本に行きたいです」

「貴方が思うほど日本は良い所でもないよ」

「そんなことはありません!私の友達の何人も日本人と結婚し日本で暮らしてます、その友達からよく日本の事を聞いています!日本は良い国だと言っています!」

「そうかな〜・・・」

「そうです!貴方は日本人だから分からないんです!日本はとてもいい国、清潔で女性に対してすごく紳士で、働き者で・・・」


彼女は全身で訴えていた・・・


私はこの雰囲気を変えようと店を出て、もっと賑やかなお店へ行こうと彼女に促した。

彼女はこの時、多分私に彼女へはアフター以上の事は期待できないことを感じ取ったのかもしれない。

徐々にではあるが彼女の態度が変わってきたのだ。

2軒目は音楽が騒がしいやはりカウンターバーの様なお店だった。

彼女はここで急にお酒のピッチが速くなった。

しばらくして・・・


「貴方は私と何がしたい?」

「えっ?」

「貴方は私と寝たいのではないの?」

「い・・いや・・」

「何がしたい!貴方のホテルに行かないの?それか私の部屋へ来る?」

「い・いや・・そうではなくて夜の上海を案内・・・」

「何を言ってる!貴方は私を抱きたくないのか!」

「いや、明日仕事が速い・・・」


彼女の態度がここで激変した・・・・


「何を言ってる!私の体が見たいんだろ!私の部屋へ行こう!ここからすぐ!行こう!早く行こう!」


彼女はグラスの酒を一気に空け、いきなり席を立ち、外へ出ようとした。


「ちょっとまて!おちつけ!」

「何を落ち着く!私は酔っていない!それより早く私の部屋へ行くんだ!」


彼女は店内で大声を上げ、私に抱き着いたりキスして来たり体を触らせたりとどんどんエスカレートしていった。

そんな行為をしてもあまり煮え切らない私の態度がさらに彼女を激昂させた。

テーブルの上にある者を落とすは、グラスは割るは、大声で泣き叫ぶはで、いくら騒がしいお店でも私等はかなり目立っていた。

しかし驚くべきは、店員もほかの客も何事もないような態度で私等を見過ごしている。

多分この様な事はここでは、いや、上海では日常の事なのだろうか?

もしこれが日本だったら店員が飛んできてすぐに退場であるだろう。

しかしここでは何も無かったように、ただ事務的に割れたグラスの破片を片付けている。

店員は私を見て、少し笑みを浮かべて何もなかったようにまた仕事に戻る。

彼女はとうとう店内の地べたにしゃがみ込み、大声で何か中国語を叫びながら泣いている。

私は埒があかず途方に暮れたその時、彼女の友達らしき女の子が店に入ってきた。

その友達が言うには私の知らないうちに彼女が携帯で連絡したそうだ。

そしてその友達は言った・・・

「彼女と一緒に私等の住む部屋へ来てほしい・・」

話を聞くと彼女はこの友達とアパートの一部屋をシェアしているらしく、彼女はどうしても私を部屋に連れて行きたくて、一緒に住んでいる友達に協力を仰いだという事なのだろう。

しかし、その友達も彼女のこのぼろぼろになっている姿を見てこれは無理だと悟ったのだろう、彼女にとってはこの友達の協力を仰ぐつもりが却って仇となってしまった。

私はこの友達のおかげでこの場を去る事が出来たのだ、私はこの友達に後を頼むという事からいくばくかのお金を渡し、友達に彼女を預け私は会計を済ませて外に出てタクシーを拾った・・・


今思うと、この友達が来なければどうなっていただろうか?

それを考えると少し身の毛がよだつ・・・

ただそれと、この友達も日本語が通じたことだ、ここは外国なのにもかかわらず、私は普通に日本語で喋っていたことだ。

ただ余談ではあるが、タクシーが通じなかった。

私は他の仕事でも海外には行くことがあった、そしてだいたいどこでも一人で外出する、その時は英語がある程度できれば大体通じた。

英語は世界共通の言葉だ、だからどこに行っても大体は通じるので、その経験から一人でも外出する勇気があるのだろう。

しかしここ上海は違った。

英語が全くと言っていいほど通じない。

本当に簡単な英語も通じないのだ。

しかもここ中国では、例えばホテルの名前「ヒルトン」は日本でも「ヒルトン」だ。

しかしここ中国では「ヒルトン」も中国名に変わる、私は帰りのタクシーに私の泊まっているホテル名を言った、しかし全く通じない。

ホテルの部屋のカードキーを運転手に見せたが、そこに書かれている文字は全て英語だった。

運転手はさっぱりわからない様子だ、英語もダメ日本語もダメホテル名も通じない、私はこのタクシーを諦め他を止めた。

次のタクシーもだめで3台目でようやくホテル名で気づいてくれた。

そう言えばこの日、彼女も英語はさっぱりだった。

海外でここまで英語がさっぱり通用しないのは初めてだ。

日本も外国人から見れば英語が通用しない代表的な国だが上海は更にそれ以上だ。

しかし日本語は必要以上に通じる。

反日報道は本当なのだろうか?これまでの経験からはむしろどの国よりも親日国だ。


あともう一つ・・・

彼女が友達を呼んだ理由は私を部屋に連れて行くための作戦だったのか?

確かに最初は執拗にその友達が私に部屋に来てくれるよう勧めていた。

その時もし私が行くと言ったら友達は他の友達のところへ行くので貴方は私に気を使わず二人で部屋を使ってくれと言っていた。

しかし何となく腑に落ちない・・・

考えすぎかもしれないが、彼女は私にその気がないと踏んだ時点で方向転換したのでは?

わざと酔っ払い、途方に暮れている私にわざと救世主を出現させ、それが自然と判断させるためにその救世主に演技させて信じこませ、その救世主にその後の世話をさせる事でお金を取る。

その時私はこの友達のおかげで確かに助かったと思ったし、ましてや異国の地だけにその思いは強かった。

だからいくばくとは書いたがかなり余計にお金を渡した。

もし、この予想が正しければ見事な連係プレイだ・・・・


ま〜どうあれ、私のこの冒険は良い思い出の一つになったことは言うまでもない・・・


つづく









名前

内容

はいむるぶし まりあっち そんな〜あなたのその際立つ魅力の前では全ての男性陣はひれ伏しますよ〜!ところでもうそろそろ電話番号ぐらいは交換しても・・・・!^^ (14/05/09 16:00)
はいむるぶし 腐敗官僚さん 漢文???そんなエジプト文字なんて習いませんよ〜!^^ (14/05/09 15:56)
はいむるぶし サイコロさん みなさんなんか誤解しているな〜!だって・・・・私は・・・・シ・シ・紳士ですから・・・?^^ (14/05/09 15:54)
はいむるぶし 6次元の人さん 以外に治安は良かったですよ!病気?そんなことになるような事はしませんよ〜!だって私・・・・シ・シ・紳士ですから・・・・?^^ (14/05/09 15:52)
まりあ まるで金魚鉢ですやんか^^;; あまいささやきには気を付けてくださいね(^O^)/ 殿方の揺れ動く心( ´艸`) 私たちはそこが魅力的だったりしますので^^ (14/04/17 17:03)
腐敗官僚 高校生の時に漢文を習いませんでしたか? あれは古代中国の文語体の文章であり、現代中国語とは違いますが、筆談で意思の疎通は十分にできますよ。俺はキャットハウスならぬ”ドッグハウス”に連れていかれましたが・・・。 (14/04/12 01:20)
サイコロ やはり中国は大陸民族ですな^転んでも無料(ただ)では起きない、どこまでも強かで・・・艶やかです。しかし、あそこで騙されて、結果的にはよかったんですね^しかし・・・いつか毒に飲まれるのでしょうか^次回作を期待 (14/04/08 21:57)
6次元の人 無事帰れて良かったですね。経験!病気うつされないようゴム必携。酔いにまぎれて金奪われずよかった。上海では様々な事件発生、日本の外務省サイトにでてます。注意してください(笑)お話期待してます。 (14/04/08 17:57)


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