Transparent lie

「世界でいちばん自殺が多い日って知ってる？
……クリスマスだよ。イルミネーションの明りに照らされて、
町全体が光にあふれて、道行く人は幸せそうに誰かの待つ家に帰ってく。
そんなとき、慣れたふりして自分をごまかし孤独に麻痺した者たちは、
麻酔が切れた患者のように、ふと我にかえってしまって
寂しさという苦痛に耐え切れなくなるんだ」

そう言ってアンタはとても綺麗に皮肉っぽく笑った。

もうすぐアンタの日が近い。
もう、何年たったんだ。
でもこの時期になると、嫌でもでもアンタのことを思い出してしまう。
何時までもアンタのことばかり考えていられるほど暇でもないのに。

思い出すだけならまだしも
最近は夢にまでアンタがでてくるよ。
夢の中のアンタはいつもの皮肉交じりの笑いかたじゃなく、
見たこともない表情で　ただ優しく微笑んで、唇を動かしてる。
その言葉がどうしてもわからなくて、近くに行って声が聞きたいけど
僕は一歩もその場から動けない。

そして、夜中に目が覚める。時には涙が止まらなくなる。

あぁもういっそ二度と眼覚めなくていいから、
アンタの言葉が知りたいとそう思う僕は、少し狂ってるのかもしれないね。