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爺放談


 ■ 2009/09/18 (金) 愛と青春の旅立ち・・・・・G


彼は今、羽田空港へ向かっていました。

彼は昨日の出来事から一睡もしないで、一度自宅へ帰ってからスーツに着替え出社したのでした、相当疲れていた彼ですがその日は朝早くから上司に急ぎ大分へ飛んでくれと言われたのでした。

それは彼が手がけてきた仕事の最終の詰めで、今日何とか良い話をもってこいとの事でした。

その仕事とは彼が自分の足で始めて掴んだ物で、色々な情報を頼りに見つけたまだ世間には知られていない逸品で、彼も初めて掴んだ仕事だけに気合が入るものでした。


「おい××!」

「はい!」

「昨日会議でお前の進めているあの案件にGOサインが出たぞ!」

「えっ?本当ですか!」

「良かったな!もしこれが取れればお前も一人前の仲間入りだ!がんばれよ!失敗は許されんぞ!」

「はい!分っております!」

「今回のお前の案件は売り上げ規模としては小さいが我社がこんな物まで扱っているのか?と言う物だ!これは大手百貨店を中心に消費者に知られて行く物で我社の知名度を更に押し上げる事が出来る、その意味で重要な位置付けの物となる」

「はい!」

「これが成功すれば日本の百貨店、その他の流通が何かイベントを催す時、必ず我社に相談を持ちかけるだろう、そうなれば競合他社に抜きんだ位置付けを取れる!」

「はい!」

「では頼んだぞ!良い話し持って来いよ!」

「はい!」


大分空港へ着いたのは午後を少し回った頃でした、そこから彼はタクシーに乗りました。


「運転手さん日田まで!」

「えっ?お客さん日田市の日田ですか?」

「そうだよ!」

「ハイ分りました!」


大分空港から約100キロの道程だけに運転手も喜んだのでしょう、大分空港道路から大分自動車道に入り日田インター出口を降りてそこから更に山奥の方へとタクシーを飛ばしたのでした。

日田は周囲が山々に囲まれた盆地で、人口は約8万人で多くの河川が流れ込む水の豊かな町であり、古くは林業が主な産業でしたが現在はその姿も減り、しかし豊かで良質な水が市の所々で湧く事から酒造メーカーがこの地に入ってきました、また良質な温泉も多く出て、昔ながらの古い町並みを主体に観光産業としても力を注いでいる町で、彼はその町の中心から遠く離れた山間に今回の相手先が有り、しばらくしてたどり着きました。

タクシーをそこに待たせて彼は門を開いた・・・・

「いつもお世話になっております!」

「はい!」

「あ!いつもお世話になっております!○○商事の××です!」

「あ〜××さん!いつも遠い所から大変ね〜、今主人は裏の畑にいますよ!」

「分りました!ではそちらの方へ向かいます!」


今回の相手先の主人は農業を生業とし、その自分の畑で取れた野菜を趣味で料理をし、自らの手で作ったちょっとした雰囲気のあるお店で、自分の作った料理を出しているというご主人でした。

どれも抜群に美味しく、ご近所では評判のお店なのですがその中でもとにかく評判高いのは、ご主人自ら作ったトマト100パーセントのトマトジュースでした。

彼はこのトマトジュースにほれ込み、絶対これはいけると踏んで会社に企画書を提出したのです。

彼はもう何度目かの来訪で、この主人とは気も打ち解け、主人の方もわざわざ何度も遠くから来てくれている事に、自分の作った物が評価されている事に気お良くし、彼とは早くから打ち解けたのでした。


「おじさん!企画が通ったよ!おじさん!どうよ!やっちゃおーよ!」

「おいおい本当に大丈夫か〜?」

「大丈夫だって!俺が全てやるからさ!おじさんはトマトジュースだけを造ってくれればいいんだよ!」

「でもな〜・・・・」

「ホントに心配要らないって!容器も配送も広告もみんなこっちがやるから!心配要らないって!」

「ま〜おめ〜が言うなら大丈夫だろうけんど・・・・なんせ大きな会社なんだろ!」

「そうだよ!おじさんが見たらビックリするような会社だ!だから心配要らないよ!」

「ま〜何度と足運ばせてこれで断っちゃ〜バチが当たるやな・・・」

「えっ?と言うことはOKしてくれるって事?」

「しようがね〜だろ!こうまでしてくれちゃ〜ことわれね〜べ!」

「よし!そんじゃ簡単だから今日持ってきた契約書にサインして!」

「わかったわかった!それよりゆっくりしていけ!おめーの好きなトマトジュース冷えてあんぞ!」

「ひゃっ!ありがと〜!喉がカラカラだったから^^」


彼は主人が書いてくれた契約書を大事にカバンに入れ待たせてあったタクシーに乗りました。

そして近くの公衆電話からこの報告を上司に伝えたのでした。


「お忙しい所すみません!××です!」

「おー!どうだった?」

「オッケーです!契約取れました!」

「おーそうか!でかした!やったな!」

「はい!有難うございます!」

「本当に今日は良くやった!今日はもう会社には戻らなくていいぞ!明日も休みだから今日はそのまま帰れ!月曜日に詳しく聞くから!」

「有難うございます!ではお言葉に甘えさせていただきます!有難うございました!」


彼は今日の上々であった仕事と上司の気遣いに気分も良く、一睡もしていないのに疲れは吹っ飛んでいました。

大分空港へ帰ってきたのはもう夜になっての事でした。


「今頃ママは出勤準備をしている頃だろうな・・・・」


彼は飛行機を待つ間、昨日の事を思い出していました・・・・・・・・・・・・・・



「マ・・・マ・・・・・・・」

「どうですか?お分かりになりましたか?」

「こ・・・これは・・・・・」

「はい!貴方がその目で見たままですわ・・・・」


そのママの背中には見事な天女の絵が入っていたのです。


「どうです?これが本当の私、貴方のまだ知らない私なのです!」

「・・・・・・」

「どうです?これでもまだ私の事を・・・・これを見る前と同じ様に私を想って頂けますか?」

「・・・・・・」

「お答えして頂けませんか?それともやはり私が言ったように・・・・」

「ど・・・どうして?」

「どうして?私はさっきも言ったように夜の女、それも銀座の・・・・」

「しかし・・・・」

「貴方は夜の銀座で働く意味を本当にお分かりになっておりません!」

「・・・・・・・」

「××様?」

「は・はい・・・・」

「私を・・・こんな私を・・・・・・抱いていただけますか?」

「えっ?」

「私を抱いていただけませんか?」

「な・何を言っているのですか?」

「お嫌ですか?」

「そんな事を言っていません!嫌だなんて、そんなこと・・・・」

「では抱いていただけるのですか?」

「・・・・・・・」

「フフフ・・・あまりいじめちゃお可愛そうですね・・・」

「・・・・・・・」


ママは床に落ちたガウンを手に取り、また身にまといました。


「フフ、ごめんなさいね!興ざめさせてしまいましたね」

「・・・・・・・」

「本当にごめんなさい!でも、でももし宜しかったら今日は泊まって行ってね?」

「ママ・・・・・」

「ごめんね、今日は一人で居させないでね?」

「ママ!俺の方こそごめん!俺ってダメな奴だ!白状します!今俺、ビビッてます!本当!ビビッてます!お・・・おれ・・!!!」


ママは彼の口に指を当てました!


「良いの!分ってる!それ以上何も言わなくて良いんですよ!」


そしてママはおもむろに彼の体に自分の体を預けました。


「貴方は本当に正直な方ですね、分ります、普通の人なら当たり前の事です、何も気にする事はありません・・・・」


そう言ってママはそのまま、その場所で彼を静かに横にさせ、彼の胸に顔をうずめ、そのまましずかに抱きつきながら無言のまま共に時間をすごしたのでした・・・・・・




つづく・・・・・・・


名前

内容

はいむるぶし まりあさん 私の背中には・・・ピップエレキ判!^^ (09/09/20 12:31)
まりあ 銀座で天女の絵…。。。ということは、ひょっとして、はいむるぶしさんのお背中には、みごとな『風神雷神』の絵が入っているとかw (09/09/19 22:50)
はいむるぶし ここへさん 毎回コメント本当に有難うございます!大変感謝しております!^^ (09/09/19 22:26)
ここへ 友人はママには冷めてHはしないで終わるということではないでしょうか。新契約はうまくいくのでしょうか。 (09/09/19 05:32)


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