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底辺日記 |
■ 2005/04/15 (金) 恋愛 |
少し前、彼女と別れた。
原因は私にあると思っている。 彼女は今年新卒で、仕事も内定し、インターンとして会社に勤め出していた。 いわば前途洋々なワケだ。 それに引き替え、彼女と出会った数年前と比べればだいぶ立て直してきたとはいえ、私の生活といえば、しがない派遣会社に勤め、とても先がある人生には見えない。 30越えてこの状況は、あんまりといえばあんまりだ。 元々、出版社に勤め、文章を書いたり取材をするのは好きなので、その類の仕事、あるいは元々やっていた出版社のジャンル的にWeb系の方向にも進みたいと考えている日々。 個人的には、クライアントに企画を持ち込み、レイアウト、デザイン打ち合わせ、取材、原稿おこし、そしてWeb制作といった一連の流れをできるだけ自分でこなす(もちろん手の届かない所には知人などに依頼する形で)ようなフリーの企画屋になりたいと考えていた。 とはいえ、そのきっかけとしてまずWeb制作会社に入る必要があるワケで、そのためにはまずしばらくの生活を保証するいくばくかのお金を貯めておかないといけないワケで、まさに今それを貯めているところではあった。 が、そんな姿も、毎日新鮮で前向き、日々が驚きの連続である彼女の生活から見れば、地味で見れば見るほど不安になっていたのもムリはないと思う。 「今、仕事が楽しくて楽しくて、でもついていくのにやっとで忙しくて仕方なくて。疲れて帰ってくる所に電話が入るだけでもわずらわしく感じられるようになった」と言われた。 「昔みたいに会うたびドキドキすることも無くなってしまった」とも。 私が彼女に飽きられたのは、日々、彼女にときめくような刺激を与えてやれなかった私の小ささであり、もっともっと今まで以上に頑張っておくべきだった、と思うのも後の祭り。 色々考えた。 私は中学生の時、いわゆる"不良、出来ない子供"の側として生活していた。 あげく、知人の彼女に無理矢理手を出し、彼女は精神的にまいって学校に来れなくなり、でも知人は私をことを怒らなかった。 怒らないどころか「俺ももっとちゃんと見てやるべきだった」と、自身を攻めるような言葉を私にかけていた。 それ以来、女性とつき合うということに恐怖を感じるようになってしまった。 そして高校卒業し、物書きになりたいと決めた私は上京。 数年の間、ただひたすら出版社のアルバイトとして月450時間越という労働時間に身を置き、やってきた。 彼女との出会い。 最初はもちろん、元々いた女性友達のひとりという認識でしかなかった。 不器用、今の若者のようなあか抜けた感じはあまり無い子だった。 ただ、ひたすらけなげだった。 話も合った、趣味も合った。 休日には、お互い大好きなカレー屋散策などよくしていた。 違うメニューを頼んでは、お互いのカレーを分けて食べ「どっちも美味しいねぇ」などと、ふたりではしゃいだりする、そんな日々だった。 気がつくと、常に彼女がそばにいるようになっていた。 仕事終わりの夕食、休日は必ずといっていいほど横にいた。 逆に彼女がいない日は、不安にかられるようになっている自分。 彼女も同様だったようで、時間が空けば「今日の夜会える?」といったメールが届く、そんな日々であった。 が、同時に私にとって女性とつき合うのは"恐怖"以外の何物でもなかった。 さらに同時進行で、当時自分がやっていたPCソフトの企画などが上手く進まず、家のトイレでトイレの水がそっくり全部入れ替わるほどの吐血をするようになっていた。 そして一線でバリバリ仕事をする、という生活から一転、いい年してアルバイトのような生活でなんとか暮らすように。 が、彼女はそれでもそばにいてくれた。 正直、その当時、自分は死ぬしかないのだろうな、と漠然と考えたことがあった。 死ぬというより、自分に関わる人全員の記憶から消えたいと思っていた。 でも彼女の存在が、唯一とっかかりになっていた。 本当にそのためだけに、なんとか生きてこれた。 どちらから言うでもなく、恋人になっていた。 私の中にあった恐怖心も、溶解していた。 それから数年、知人の家に居候し、なんとか体を保ちつつ簡単な仕事をこなしいていた私は、数ヶ月前ようやく、一人暮らしの生活に戻ることができた。 だが彼女の気持ちは恐らく、その頃から離れつつあったのだろう。 はたから見れば、いつまでこんな暮らしをしているのだと不安にさせるような、地味で先の無さそうな生活。 結婚ということさえ考えていた彼女の中にある、その理想とこの現実のギャップ。 自分の彼氏のダメさ加減と引き替えに、なんと自分の今の輝いていることか。 男は情緒で恋愛し、女は現実で恋愛する、と私が尊敬する先輩がおっしゃっていた言葉があるが、まさに彼女はその先、自分が幸せになるのかを冷静に判断し、私のように情緒的な馴れ合いばかりを求めているのではなく、あくまで冷静に、彼女自身答えを出した。 「友達に戻ろう」という言葉だった。 が、申し訳ないことに私は極めて弱い人間で、ここまで愛した人が友達という存在になるのは耐えられなかった。 いずれ彼女にも出来るであろう、新たな恋人、私などよりよっぽどしっかりしていて将来性もあり、彼女を幸せしてやれるだろう器も持った、そんな恋人が、友達である私の前に現れ「○子の彼氏です」と笑顔で挨拶されたとき、私は笑顔で迎えられない、と思った。 「お願いだから、これでもうお別れにしよう」と返した。 咄嗟に出た言葉だった。 気が狂ったかと思った。 自分の口から別れようと言ったことに自分で驚いた。 だがすぐに考え、その気持ちが自分の本心だな、と心から思った。 彼女にはどうか幸せになって欲しい。 心から本当にそう願う。 だが、そのこれからたくさんあるだろう幸せを一緒に叶えるパートナーが私でない以上、私がそれを友達という立場から眺めるのは、死ぬより苦痛だ。 だから別れよう、と思ったのだ。 彼女は泣いた。 「どうしてこんな優しくしてくれる人を好きじゃ無くなったんだろう」と言った。 私は鍵を返すと家を出た。 夜のまだ寒い風の中、スクーターでトコトコと走りながら考えた。 世の中、こんな目に合っている人がきっと多くいるのだろう。 もちろん私のように自業自得な場合は仕方ない部分もあるが、愛した人に完全に裏切られた人もいるのだろう。 そういえば、恋人という存在を作るのは、中学生の時以来だったなぁ。 失うというのはこんなに辛いものだったのか。 女は、別れに強いと言う。 すぐにまた新たな恋を見つけるという。 それに対して、男はずっと引きずるらしい。 確かにその通りだと思った。 自分の中では終わったことだ、と認識している。 ……つもりだが、今後、新たにそばに居る人が現れたとしても、その人のことをあの人の時のように純粋に好きになれる自信が無い。 というか、考えるだけでむしろ苦痛だ。 まずいな、昔のようにすべての前から消えたいという気持ちが一気に噴出してきた。 彼女には言わないが、彼女のためだけになんとか頑張ってきたつもりだった。 私自身は別にどうなってもいい、ただ、ただ、そんな私を不器用に純粋に好きでいてくれた彼女だけは幸せにしてあげたかった。 その彼女はもういない。 これから自分は何のために頑張っていくのだろう。 もうご飯を食べて「美味しいねぇ」と言い合える、いつも向かいの席に座っている人はいないのだ。 このスクーターの後ろに座り、寒い日はお互い震えながら、暑い日はお互い服をバタバタさせながら載っていた、その人はもういないのだ。 シートの下に収めている彼女用のヘルメットはもう使うことはないのだ。 涙がポロポロ出た。 泣きながらバイクに乗っていた。 独りになった家に帰るのが恐ろしく、しばらく外を独りで走っていた。 走りながら泣いていた。 いい年した甲斐性なしのオヤジが泣きながら夜中、スクーターに乗っている図など、なんてみすぼらしい姿かと自己嫌悪に陥った。 吐き気がした。 弱いなぁ、本当に私は弱いなぁ。 こんな辛い目に合っている人が、世の中に多くいるのも辛いなぁ。 皆、幸せになって欲しいなぁ。 好きな人が好きな人と、ずっと一緒に、幸せでいられるようになって欲しいなぁ。 どうかどうか幸せでありますように。 |
名前 内容
無職さん >サスケさん ありがとうございます。そう言ってくださるだけでも有り難いです……。でも自分は弱い人間です。未だに部屋で一人になると寂しくて寂しくて恐ろしくなります。意味もなく外にでかけ、することもないのに公園でぼんやりと過ごしたりしてしまいます。どうかサスケさんのこれからの人生が、こんな人生になりませんように……。 (05/04/16 00:00)
サスケ 強い、ですねえ この文章を読む限り弱いとは思いませんよ? (05/04/15 22:13) |
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