ヌレヌレ草★這い上がる雌ブタ

嫁入り前・当時２２歳のヌレﾀﾝはヤモメのおやじにもの凄い反対を受けて英国に来たの。
しかも、ヌレﾀﾝは６ヶ月で帰るから、って見え透いた嘘をついて英国にきちまった訳さ。

まあ、おやじも娘の性格を見抜いてるのか、一切の援助はしないっつう約束で渋々おｋ。
ヌレﾀﾝは社会人で守銭奴に成りきり貯金をして憧れのＵＫに来た訳っす。
それでも、おやじは年に１回、お煎餅とかお菓子とか送ってくれて、嬉しかったな。
でね、毎回、その中にキムチが入ってたんれす。

ヌレﾀﾝはキムチ大好きっすよ。
しかし、その頃、オーストラリア人とニュージーランド人等とハウスシェアをしてたので冷蔵庫のキムチの臭いで他の人に多大な迷惑をかけていた訳。
その事をおやじに言ったら激怒しちゃって、ったくもー。
その後一切、なにも送ってこなくなった訳。

最近こそ、日本食も安く手に入るようになったけど、当時、来たばかりの英語ダメ子さん（死語）、学生で日本食レストランでバイトしてたヌレﾀﾝの給料は週１００ポンドだっつの。（約２万円）
そりゃ、赤貧だったわ。
給料日が毎週月曜だったんで週末なんて友達呼んで
『食い物持ってきてくらさい。』
と．．．
一回、生きてますか？と訪ねてきてくれた友達が持って来たのはクラッカー。
そのクラッカー味が無いんだよね。
口の中の水分を取るので水を飲みながらクラッカー。
＜なんでこのクラッカーこんなに不味いの？＞
という言葉が喉まで出かかったけど、流石にそれは聞けなかった。
後からこっそりラベルをみたらベジタリアン用クラッカーだったな。
あれですよ、普通はクリームチーズとかスモークサーモンとか乗っけて食うやつ。
あれは不味いね、そのまま食べると。

バイトは週４日入っててそこでは賄いが出るからいいとして、夜シフトだと余ったご飯もくれる。
問題は週末。
あの頃は体重計持ってなかったけど今より確実に痩せてたよ。
ご飯が無い時はスーパーで
『ライスフレーク』という、一体何に使うのか分らない食材があってあれ確か１袋５０円だったの。
早速、購入して湯入れて煮てみたら工作用ののりにたいになったんで喰ってみたら何となく米の味がしたのでそれに醤油とか入れてくってみたりした。
あんなものよく食ってたよ。
つか、あの『ライスフレーク』って一体なんだったんだろう。

後、パブでは最初の一杯だけ買って後は密かにワインをエビアンの入れ物に入れて持ち込んでた事もあったよな。
あれはパブ側に見つかったら怒られるからスリルとサスペンス・ドキドキ大作戦だったな。

今考えると、あの頃は貧乏をエンジョイしてたな。
そうだ、今だってそれは出来る筈。
いや、あの頃よりはマシだもん。

楽しもう、ワンダフル・貧乏ライフ。


『ヌレヌレ草』

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