ヒモと呼ばないで

俺には専属の占い師がいる。
相武紗希だ。

通勤途中、不動産屋ののぼりに彼女が笑ってる。
その向きが表なら吉、裏なら凶。

簡単な占い。
そして、それはよく当たる。

そのほとんどが裏。
いつも、といっても過言ではないくらいの頻度で裏だ。
風向きなど無関係に、何故かいつもいつも裏なんだ。

でも、遠目だとよく見ないとわからない。
のぼりで微笑む彼女は、裏からの透かしでも十分魅力的だ。

凶、だけどラッキー。
どこか違和感ある笑顔にも、うっかり甘受してしまう。

「あなたは冴えない人生を送ってる。
だけど、それでも昨日は終わり、今日がまた始まったの。
いってらっしゃい」

毎日、そう囁いてくれる。
俺専属の占い師。

俺の毎日を的確に占う。
そして、今日も大当たり。

いつも、裏側。
凶ばっかり。

でも、毎日その笑顔はそこにある。

俺だけの鏡像の女神。

ありがとう