爺放談

「○○さん！三菱電機ビルテクノの××様と言う方からお電話が入っていますが！」

「は・はい！何番ですか？」

「３番です！」

「はい！お電話変わりました！○○です！」

「あ〜○○さん、すみません××です！」

「あ・はい！先日はどうもすみませんでした！いや〜お電話を頂けるとは思っても居ませんでした！何かありましたでしょうか？」

「いや〜！大した用事ではないのですが・・・いえね！この前頂いた色紙・・・」

「あ〜！あの色紙ですか！」

「そうなんですよ！あの色紙ですがね！」

「何か御気に触るようなことがございましたでしょうか？」

「いや、違うのですよ！実はあの後事務所のみんなにこれを見せたのですよ！そしたらね〜」

「・・・・・・・」

「私も作って欲しいと言う方がたくさん居ましてね〜」

「はい！」

「それで・・・大変申しにくいのですが、その方の分ももし良かったら作っては頂けない物かと・・・・・」

「そうなんですか！いや！お安い御用ですよ！」

「本当ですか！いや〜助かります！なにね、私だけ頂いてると何かとやりにくいのですよ・・・・」

「何を仰いますか！そんなことならお安い御用ですよ！では早速その方々の名詞を頂ければ有りがたいのですが！」

「分りました！皆の分の名刺を貰っておきますので近くに来た時こちらに寄っていただけますか？」

「はい！明日にでもお伺いさせていただきます！」

「いや〜本当に申し訳ない！それではよろしくお願いします」

「わかりました！」


まさかこんなに早く私の特別営業の反響が出るとは思っても居ませんでした。

これはひょっとしたら本当に何か扉が開くかも、と思う期待が大きく私の中に膨らんできたのでした。

そして次の日・・・・・


「いや〜いや〜本当にすみません」

「いえいえ、私の方こそ実は本当に嬉しいのですよ」

「いや〜！そう言って頂けるとありがたいです」

「で、何人ほどの分でしょうか？」

「いやね、３人分なのですが、私の周りの女性陣の方々の分なのですよ」

「あ〜女子社員さんの分ですね！よござんす！お承りますよ＾＾」

「いや〜助かります！実は何の契約もしていない御社の営業の方にこんな無茶をお願いするのは本当は気が引けるのですが何分女性陣には私も頭が上がりませんので本当に助かります」

「いえ〜良いんですよ、その種を撒いたのは私なのですから」

「本当にお忙しいのにこんな無茶をお願いしてすみません！出来上がりはいつでも良いですので出来たら電話を頂ければ・・・・」

「はい！その様に致します・・・それより××さん、私からもう一つお聞かせさせて頂いても宜しいでしょうか？」

「えっ？なんでしょう？」

「××さんの趣味を出来ればお聞かせ願えれば幸いなのですが・・・」

「えっ？私の趣味ですか？」

「はい！」

「今は何もやってはいませんが・・・・」

「いえ！そんなかしこまったものではなくて良いんです、昔やってたものとか少し興味がある物とかで・・・」

「そうですね〜昔は良く釣りに行ったものですが今はもう時間も無く全く行かなくなりましたが今ももし暇が有れば行きたいですね」

「そうですか！釣りですか！それは海ですか？」

「そうですよ！昔は海に良く釣りに行きました！これでも昔は太公望と呼ばれていたのですよ！」

「そうなんですか！それじゃ〜道具もいっぱいお持ちなのでしょうね？」

「はい、でも今は埃が被っていますよ・・・・・」


私のこの会話は次の特別営業レベル２を実行する為のものです。

幸い次は依頼された物を届けると言う大義名分がありますので実に気兼ねなく電話も出来ますので私は本当に気が楽にもなりました。

で、このレベル２なんですが、これはこれまでより作成にちょっと時間を要する事で、実に私の特技を駆使して作るものでした。

それは、釣りを題材にした絵を贈る事です。

それからしばらくの間は、私はヒントとなる絵が載っている本や釣り雑誌、また釣具屋さんなどを仕事中に巡ってはどの様な絵にするかを絞っていきます。

それとその絵の最大に重要なことは、その絵の中に××さんの名前を入れることなのです。

そうすると、その絵は完全にその方の絵になります、それが一番重要なのです。

私は何時も水彩か鉛筆にしているのですが今回はパステルで書くことにしました。

それから数日が立ちようやく約束の物と、レベル２である絵も完成したのです。

その絵は額縁に入れ、やはりまたそれほど仰々しくない入れ物に入れ持って行く準備も整ったのです。


「なかなか今回も良い出来栄えに仕上がった！これを見たらどう思うかな？ひょっとしてあまりの事で引かれたら困るよな・・・・・」

「しかしまた。これを周りの人に見せて私も作ってもらいたいと言われてもこれはちょっと無理だな〜！ま〜何にしてもどうなるかはやってみて考えよ！」


そして私はレベル２を実行に移すのでした・・・・・・