「ほら、ここに栄光があるぞ！　これを手にするのは誰だ！？」誰かが言う。
「はい、私めが最もふさわしい人間です。」「いや私です。」「俺だ！！」「私よ！！」みなが口々に言う。「・・・よし、お前だ。」そして、他の者はすごすごと去っていく・・・。

　誰かが職を得る。そしてその代わりに誰か（他のすべての者）が落ちる。職を与える者はその状況を当然のように作り出す。落ちた者は、また努力する。そして職を得る。そうするとそのまた落とされた者はさらに努力、又は損失を被らなければならない。目の前のニンジンがほしいため走る馬のように・・・。

　努力に意味はないと言いたいのではない。ただ、このようにもし己が競争に打ち勝って職を得たとしても、そのことがまた新たな競争を作り出すことになるのだ。競争の創出に加担している自分に、とてつもなく違和感を感じる。それがある限り誰かが困ることになるのだ、誰かは分からなくても誰かが・・・。

　世の中資本主義社会。私たちは労働力を提供することにより、賃金を得て生活しなければならない。それは事実だろう。だが、この際限なく上のような状況を作り出すことによって、何かを得た者がいれば何かを失う者も必ず出るだろう。ならば、誰もが他人に一切迷惑をかけない、困った人が現れない世界に行きたいと僕は思う。もしかするとそれは、みんなが自給自足の生活をすることなのかもしれない。車に少し乗るのでさえ、排気ガスで空気を汚したり、二酸化炭素で地球温暖化に加担したり、それよりも誰かの交通事故死の可能性を創出しているんだ。

　・・・嫌だ、誰かが分からなくても、誰かに迷惑をかけてしまっている世界は・・・。まるでいじめに加担するみたいではないか・・・。

投稿者 : 記入なし　日時 : 06/05/21 21:42