爺放談

翌月に入り、待ちに待ったビルテクノさんから文具の発注書が我が事務所の届いた。

「○○さん来ましたよ！スゴイですよ！枚数にしていきなり３枚！」

「えっ！来ました？そうか〜！それにしてもいきなり３枚分もですか！」

私はその発注書を確認した所、ファイル、マーカー、テープ、ペン、ＰＰＣ・・・・

さすが研修センターだけあって金額ベースにして約２０万以上！しかしこれでも全体の一部と言うのだからもうたまりません！これがこれからなんの営業努力も無しに毎月自動的に流れてくるのですから・・・・・

この文具だけの金額ベースは中小企業の約１０社分以上の金額に相当します。

「さすが大手は違う！消耗度が半端じゃない！こんな企業を何社も持てば文具だけでノルマの大半を稼げる！そう考えると複写機の保守料金なんて凄い金額なんだろうな」

私は是が非でもこの複写機を取る事を最終目標に掲げ気持ちも高ぶり、その為にもこのレベル３の制作にも気が入り、何時もより完成度の高い物に仕上げようと残業をするのでした。

次の日、私は××さんにお礼の電話と納期の確認でお伺いを立て、レベル３を持ってお伺いする事にしました。


「××さん！本当に有難うございます！確かにご注文をお承りました！」

「いや〜あの程度しか出せなくてすみません、本当はまだまだ有るのですがいきなりはまだ無理ですので・・・・」

「いえ！それでも凄い量ですよ！さすがこれほどの会社になると消耗品の数も凄い量になってくるのですね！」

「そんなものですか、私は他が分かりませんので多いのか少ないのかが分らないのですよ」

「いや〜凄い量ですよ！」

「そうなんですか、それはやはりうちが研修センターなので使うのでしょうね・・・」

「私どもの上司達も凄く喜んでいます！これからも宜しくお願いいたします」

「私の出来る範囲ですからあまり期待はしないでくださいよ」

「いえいえこれだけしていただいて本当に感謝しております」

「あっ！そう言えば私の事務所をまだご覧になっていませんよね？」

「はい！」

「それは失礼しました、では今行きましょう！発注担当にも紹介しますので！」

「本当ですか！喜んで行かせて頂きます」


私は初めてロビーの簡易的な打ち合わせ場所から先の本丸を覗かせてもらえたのです。

そこはどれぐらいの広さでしょうか？１フロアー全部が事務所になっており、ちょっとした体育館のような広さの中に全ての机がパーテーションで仕切られ、それぞれの机の上にはパソコンが設置してあり、壁面には整然と並ぶオフィス家具、その中を人員が多くも無くそれでいて少なくも無い、その事務所のキャパシティに丁度合った具合の良いこれぞ大手と言うにふさわしい事務所でした。


「○○さん、こちらが発注担当の△△さんです」

「この度は本当に有難うございます！これからは△△さんにご迷惑をお掛けしない様一生懸命がんばりますので宜しくお願いいたします」

「いえ！こちらこそ！そう言えば例の名前の・・・貴方がお作りになったのですか？」

「はい！」

「あれ！本当に有難うございます！スゴク良かったです！ご面倒だったでしょ？」

「いえ〜！あんな物で喜んでいただければ・・・それより今回の××さんの計らいの方が数段嬉しいことです！」

「そうですか＾＾じゃ！これからバンバン流さないとね＾＾」

「有難うございます！本当に宜しくお願いします！」

「それにわたし！今までの営業さんあんまり好きじゃないのよ！」

「えっ！」

「おいおい！あまりそんな事を言っちゃ〜！」

「あっ！ごめんなさい！すみません、わたしってつい思っている事を言っちゃうのよね！○○さん今のは聞かなかったことに！＾＾」

「当然ですよ！△△さん今何か仰いましたっけ？おかしいですね〜何にも記憶に無いな〜＾＾」

「フフ！そうしてください！」

「それではすみません！これからも宜しくお願いします！それでは失礼します！」


私はその事務員さんの言った言葉に、この先ももっと付入る事が可能なことに手応えを感じ、今日帰って△△さん宛てに御礼状を書き、彼女にもっと好印象を持たれる事も重要な要素としました。


「どうでしたか？私どもの事務所は？」

「はい！やはり大手の事務所だけあってソツなく整理された事務所ですね！」

「そうですか！他の事務所をたくさん見てきている貴方が仰るのだからそうなんでしょうね」

「所で××さん！今回は私こういう物を持ってきたのですよ！」

「またまた何を出そうと言うのですか？」

「いや〜そんな大した物ではありません！今回はここで明けずにそのままお持ち下さい！」

「え〜〜！変な物が出てくるのではありませんよね〜」

「ハハ！これは見てのお楽しみと言うことで・・・・」


私は今回のレベル３は今までの作ってきたレベル３を遥かに凌駕する出来栄えに仕上がり、ここで披露するのはもったいなく思いじっくり見て頂くため今回はそのまま帰る事にしたのでした。


多分数日後の××さんの反応を楽しみにそのまま営業車は帰路に付くのでした。

レベル３、それは担当者を主人公にしたショート小説でした。

担当者の趣味を題材にし、原稿２０枚程度の小説を作りそれをちゃんとした本として装丁まで仕上げた物です。

自分が主人公になった小説など普通は見ることなどありません、これまでこれを差し上げた方々は全て目を丸くし、本当に感心してくれ、その後の営業活動はそれはそれはやり易くなった物でした。

私はこの営業活動の全ては事務所で作成し、その外の本来の仕事を全て終えてからの作業ですので何時も他の営業の人が帰ってからの作業になり、この特別営業を行うと何時も軽く夜の１２時は超えていました。

そして次の日・・・・・

「○○さん！三菱電機ビルテクノの××さんから電話が入っています」

「はい！」

「なんだろう？また今度は違う人の分の絵を描いてほしいなんて言って来るんじゃ？」

「はい！お電話変わりました！○○ですが」

「あっ！○○さん、先日はあのような物を有難うございます」

「いえいえ！大丈夫ですよ！今回はどういった御用でしょうか？」

「それですが、○○さん！もし宜しければ時間があれば近い内にうちへ寄って頂けますか？」

「はい！そんな事なら今日でもお伺いさせていただきますよ！」

「そうですか！それでは今日だいたい何時もの時間にお待ちしています」

「分りました！では今日お伺いさせていただきます」


私は今回伺う理由に付いては皆目見当が付かず、それでも何の用事もないことで大手が呼ぶはずもないのでなにかしらの期待を込めていたのでした。


「いや〜今回お呼びしたのは他でもないのですが」

「はい！なんでしょう？」

「いえね！現在私どもが引いている文具全般は一社が引き受けているのですが値段と納期が少し問題が有りまして・・・・・」

「えっ！そうなんですか！」

「そうなんですよ！前に貴方が仰った様に一社でしかももう長く取引をしている物ですからどこかダレちゃっているのでしょう」

「そうなんですか！」

「そこで今回文具全部とは言いませんが一部を他に回させて見ませんか？と言う提案を私がしてそれが通ったのですよ！」

「えっ！××さんがそう言って頂けたのですか？」

「はい！貴方が一生懸命やってくれるので何とかお返しできない物かと・・・・それに貴方の言うように一社というのは確かに今言った様な問題も出てきてやはり危機感を持たなければどんなことでも淀みますからね」

「その通りです！でも本当に有難うございます！がんばりますので宜しくお願いします！」

「御社はオフィス全般を取り扱っていると言っていましたが文具も大丈夫なんですよね？」

「はい！何でも取り扱っています！」

「では、一応うちでは現在文具全般を７×で入れて頂いているのですが大丈夫ですか？」

「大丈夫です！」

「ではその見積書と契約に伴う書類を作成して貰いますのでこの書類に社版と口座を入れて提出をして下さい、多分来月からお宅の方に発注書がＦＡＸで流れていくと思いますので」

「分りました！こちらも万全を尽くして対応するよう事務方にも伝えておきます」

「いや！最初はそんなに出ないと思いますが・・・・私も発注担当になるべく流す様に言いますが急に乗り換えると今までの業者の立場も有りますんで」

「分ります！序序にで結構ですので・・・・本当に有難うございました！」

「いや〜！○○さん！貴方の最初の名前の由来が利いていますよ！発注担当の女性もあれが結構受けていましたので私も頼みやすいのですよ！」

「いや〜本当にそう言って頂けるとやった甲斐があったと言う物です本当に有難うございました」


私は期待していた以上のこんな早い結果に驚きと、早くこの結果を上司に報告することで頭がいっぱいで営業車を走らせるのでした。


「所長！来月からビルテクノさんと取引が始まりそうですよ！」

「えっ！そうか！やったな！」

「ですのでビルテクノさん専用の担当をつけて対応して行く様、指示してほしいのですが」

「分った！くれぐれも間違いの無いよう最初が肝心だからな！」

「はい！よろしくお願いします！」

「で？どういった内容なんだ？」

「はい！最初は文具からスタートです！」

「そうか！そうだよな、いきなりＯＡ機器なんて話は無理だろうな〜」

「当たり前じゃ有りませんか！しかしうちでは数少ない大手との取引ですよ！何時かはここから大物の取引に繋げていきますよ」

「そうだな、それまでは絶対粗相の無いよう頼むよ！」


レベル３に入る前のこの吉報は私にこれからの遣り甲斐と他の大手にチャレンジする勇気を与えてくれる物でした。

「いや〜すみません！こんなお願いをしちゃって・・・みんなの分作るのは大変だったでしょ〜」

「いえ！大丈夫ですよ！はい！これ、みんなの分が入っております」

「いやいや本当に申し訳ない！これでみんなも喜ぶし私も株が上がりますよ＾＾」

「いや〜そう仰っていただけると私も作り甲斐があります」


今回の作った分は皆さん女性だと聞いていましたので××さんに上げた物より可愛らしく仕上げていたのでした。


「ところで××さん」

「はい！」

「今回は他にももう一つあるのですよ」

「えっ！何なのですか？」

「実はこれなんですけどね・・・・」

「えっ？これはなんですか？」

「どうぞ開けてみてください」

「へ〜〜〜〜！！！こ・これはスゴイですね！！！これも○○さんが作ったのですか？」

「はい！」

「へ〜〜〜〜！これは本格的ですね！しかも釣りの絵ですね！そうか〜〜だから聞いたのか〜〜〜」

「その通りです」

「ま・まさかこれも私に！」

「はい！もし宜しければ」

「いや〜これは頂けませんよ！この様な物を頂く所以は私にはありませんよ」

「いえ、良いんです！その為に書いたのですから」

「いや、それにしても・・・・・」

「どうぞ！出来れば貰ってやってください！出ないと書いた意味がありませんから」

「しかし、ここまで来るとまずいですよ！何も取引は無いし、だからと言ってこれから有る訳でもありませんし・・・」

「そんな事はどうでも良いんです！しかしもし宜しければこれからもちょくちょく顔を出させて頂ければと思っているのですが・・・・」

「いや、そんな事は別に良いですよ！これからも来て頂いても私の時間が有る時でしたら是非・・・・・」

「そうですか！毎回お仕事が忙しいのにお付き合い頂いて心苦しかったのですが・・・」

「ま〜時間があればいつでも宜しいですよ」

「有難うございます！そのお言葉に甘えさせていただきます！もちろん来る時は電話でアポを取ってからに致します。本当にこれからもよろしくお願いいたします。」


私のこのレベル２の効果は私なりの判断では上々で、とりあえずはこれからも此処に来社することに何の用事が無くとも違和感無く来れる状況に持っていくことが出来そうでした。


しかし次の訪問では、私の特別営業レベル３を持って行ける様レベル３の制作に取り掛かるのでした。

「○○さん！三菱電機ビルテクノの××様と言う方からお電話が入っていますが！」

「は・はい！何番ですか？」

「３番です！」

「はい！お電話変わりました！○○です！」

「あ〜○○さん、すみません××です！」

「あ・はい！先日はどうもすみませんでした！いや〜お電話を頂けるとは思っても居ませんでした！何かありましたでしょうか？」

「いや〜！大した用事ではないのですが・・・いえね！この前頂いた色紙・・・」

「あ〜！あの色紙ですか！」

「そうなんですよ！あの色紙ですがね！」

「何か御気に触るようなことがございましたでしょうか？」

「いや、違うのですよ！実はあの後事務所のみんなにこれを見せたのですよ！そしたらね〜」

「・・・・・・・」

「私も作って欲しいと言う方がたくさん居ましてね〜」

「はい！」

「それで・・・大変申しにくいのですが、その方の分ももし良かったら作っては頂けない物かと・・・・・」

「そうなんですか！いや！お安い御用ですよ！」

「本当ですか！いや〜助かります！なにね、私だけ頂いてると何かとやりにくいのですよ・・・・」

「何を仰いますか！そんなことならお安い御用ですよ！では早速その方々の名詞を頂ければ有りがたいのですが！」

「分りました！皆の分の名刺を貰っておきますので近くに来た時こちらに寄っていただけますか？」

「はい！明日にでもお伺いさせていただきます！」

「いや〜本当に申し訳ない！それではよろしくお願いします」

「わかりました！」


まさかこんなに早く私の特別営業の反響が出るとは思っても居ませんでした。

これはひょっとしたら本当に何か扉が開くかも、と思う期待が大きく私の中に膨らんできたのでした。

そして次の日・・・・・


「いや〜いや〜本当にすみません」

「いえいえ、私の方こそ実は本当に嬉しいのですよ」

「いや〜！そう言って頂けるとありがたいです」

「で、何人ほどの分でしょうか？」

「いやね、３人分なのですが、私の周りの女性陣の方々の分なのですよ」

「あ〜女子社員さんの分ですね！よござんす！お承りますよ＾＾」

「いや〜助かります！実は何の契約もしていない御社の営業の方にこんな無茶をお願いするのは本当は気が引けるのですが何分女性陣には私も頭が上がりませんので本当に助かります」

「いえ〜良いんですよ、その種を撒いたのは私なのですから」

「本当にお忙しいのにこんな無茶をお願いしてすみません！出来上がりはいつでも良いですので出来たら電話を頂ければ・・・・」

「はい！その様に致します・・・それより××さん、私からもう一つお聞かせさせて頂いても宜しいでしょうか？」

「えっ？なんでしょう？」

「××さんの趣味を出来ればお聞かせ願えれば幸いなのですが・・・」

「えっ？私の趣味ですか？」

「はい！」

「今は何もやってはいませんが・・・・」

「いえ！そんなかしこまったものではなくて良いんです、昔やってたものとか少し興味がある物とかで・・・」

「そうですね〜昔は良く釣りに行ったものですが今はもう時間も無く全く行かなくなりましたが今ももし暇が有れば行きたいですね」

「そうですか！釣りですか！それは海ですか？」

「そうですよ！昔は海に良く釣りに行きました！これでも昔は太公望と呼ばれていたのですよ！」

「そうなんですか！それじゃ〜道具もいっぱいお持ちなのでしょうね？」

「はい、でも今は埃が被っていますよ・・・・・」


私のこの会話は次の特別営業レベル２を実行する為のものです。

幸い次は依頼された物を届けると言う大義名分がありますので実に気兼ねなく電話も出来ますので私は本当に気が楽にもなりました。

で、このレベル２なんですが、これはこれまでより作成にちょっと時間を要する事で、実に私の特技を駆使して作るものでした。

それは、釣りを題材にした絵を贈る事です。

それからしばらくの間は、私はヒントとなる絵が載っている本や釣り雑誌、また釣具屋さんなどを仕事中に巡ってはどの様な絵にするかを絞っていきます。

それとその絵の最大に重要なことは、その絵の中に××さんの名前を入れることなのです。

そうすると、その絵は完全にその方の絵になります、それが一番重要なのです。

私は何時も水彩か鉛筆にしているのですが今回はパステルで書くことにしました。

それから数日が立ちようやく約束の物と、レベル２である絵も完成したのです。

その絵は額縁に入れ、やはりまたそれほど仰々しくない入れ物に入れ持って行く準備も整ったのです。


「なかなか今回も良い出来栄えに仕上がった！これを見たらどう思うかな？ひょっとしてあまりの事で引かれたら困るよな・・・・・」

「しかしまた。これを周りの人に見せて私も作ってもらいたいと言われてもこれはちょっと無理だな〜！ま〜何にしてもどうなるかはやってみて考えよ！」


そして私はレベル２を実行に移すのでした・・・・・・

私は早速担当者の名詞から私独自の営業法レベル１の名前の由来の作成に取り掛かりました。

少し高級感を漂わせる色紙に、私の創作した由来を毛筆で書き込み、全体としては「あいだみつお」を連想させる作風に仕上げたもので、家の玄関の壁に飾ればちょっとしたインテリアにも使えそうな程の仕上がりで、事実これまでこれを送った方々にも大変好評を博した物でした。

私は２回目のアポの電話にもタイミングを何時も考えており、だいたいこれまでの経験で御礼状の届いてあろうその日から一週間後を目安として、ほとんどの事務所関係に従事している方々が一段落終えた時間帯１４時から１６時の間に電話を入れるようにしています。

「もしもし、○○リコーの○○と申しますが用度担当の××様はおいででしょうか？」

「はい、少々お待ち下さい」

それでもやはり、そうは言ってくれましたが社交辞令で言ってくれたかもしれません、何かの理由をつけて会えない旨を告げられるとそれ以降の電話が凄く躊躇されます。

私は担当者が出るまでの数秒が凄く緊張するのでした。

「はい、お待たせいたしました」

「はい、その節は誠に有難うございました！○○リコーの○○です！」

「あ〜！リコーさん、いえいえ、大丈夫ですよ！それで今回は？」

「いえ、大変申し訳ございません！先日申していただけました事で、もし宜しければ××様のお手隙なお時間がございましたらまたお伺いさせていただければと思い連絡したしだいなのですが・・・・」

「あ〜！あのことね、あー良いですよ！明日のこれぐらいの時間帯でしたら時間も取り易いですから」

「あ！そうですか！有難うございます！では明日の○時にお伺いさせていただきますが宜しいでしょうか？」

「かまいませんよ！でも次は何の話ですか？」

「いえ、私と致しましてはお会いできることが嬉しいですので」

「なんか気持ち悪いですね〜その趣味はありませんよ」

「いえいえ！そんな意味では＾＾」

「分かりました！お待ちしております」

この反応はさすがに私も良すぎるので少し面を食らいましたが、やはり御礼状の効果があったとして前向きに考えることにしました。

そして次の日・・・・・

「すみません！○○リコーの○○と申しますが、用度担当の××様をお願いします」

「はい、少々お待ち下さい、今お呼びします。それまでそちらでお待ち下さい」

またこの前と同じブースで待たされた私は一回目の時とは違い、少し余裕がありましたのでこのロビーやその他の事まで気を配って見て気付いたのですが、やはり大企業の表を飾るにふさわしいその受付嬢はかなりの美貌の持ち主で背もすらっと高く、何よりもこの静寂が包むロビーに一際響くその声は大人の匂いを漂わせ、声だけでも惚れてしまいそうになる方でした。

「すげ〜な〜！あんな美人とは一生に一回ぐらいお手合わせしてみたいもんだな」

「さすが大企業は違うね！俺の事務所とは大違いだな」

そんな馬鹿なことを考える私はまだ２回目なのに本当に骨の髄まで変態なのです・・・

「お待たせしました」

「あっ！すみません！またお言葉に甘えさせていただいて・・・」

「はは！良いですよ！私もこの時間は少し余裕がありますので！」

「どうもありがとうございます」

「あ〜！そういえばハガキ有難うございます。なんか筆で書かれたハガキなんて久しぶりに見ました、貴方の会社ではみんなこの様な事をするのですか？達筆で驚きましたよ！これは貴方が書かれたのですか？」

「はい！恥ずかしながら私が書いてます、しかし私の会社全員がこの様な事をするわけではありません」

「そうですか、いや〜全員するべきだと思いますよ、これは良い試みだと思いますよ！うちの営業にもこれをするように勧めようと思うぐらいです」

「そう仰っていただけると幸いです」

「本当にそう思うな〜・・・で、今日は？」

「いえ！すみません、お忙しいのにお付き合いしていただいて・・この前とそれほど違いはありませんが今回の目的は率直に申しまして私を覚えていただきたいその一心でお伺いさせていただきました」

「貴方は正直な方ですね、その話は人によっては無礼に値する話ですよ！貴方の暇つぶしに付き合わされていると解釈する方もいますよ」

「はい、その通りです、そう思われる方もいらっしゃると思います」

「では、私がそう思っていたらどうしますか？」

「それはもう仕方が無いことと思います、しかし、私どもが御社のような大企業とお付き合いさせてもらうには、劇的な事でもない以上この様な手段でしか関係を築ける糸口がありません、俗に私等営業が良く言うお茶を飲む関係を築く、失礼ですがこれ以外無い様に思うのです」

「・・・・・・・・」

「その一環としてではありませんが、私は今回作ってきたものがあります。」

「なんですか？」

「今回はこれを御渡しして帰ろうと思っております」


私はあまり仰々しくさせないため自社の茶封筒に入れたその色紙を手渡しました。


「なんですか？これは」

「もし宜しければ明けてみていただけますか？」

「うん！なんだ？・・・・・・・へ〜〜〜これは・・・・貴方が作ったのですか？」

「はい！」

「へ〜〜〜〜！器用ですね〜〜〜！あ〜〜そうか〜私の名詞から作ったのですね」

「はい」

「何か私の名前がこの様に書かれると恥ずかしくなっちゃいますね！貴方はこの様なことをみんなにしているのですか？」

「とんでもない！これは特別な時にしか出来ません！」

「そうですよね〜〜しかし貴方は変わっていますね〜こんな営業マンは初めてです、スゴイな〜〜〜」

「そう言って頂けると幸いです、では今回はこれで、またお伺いさせていただいても宜しいですか？」

「あっ！あ〜！ではまたアポを取ってくれれば・・・・」

「有難うございます！またお伺いさせていただきます、今回もお忙しい中本当に有難うございました！」

「はい・・・・」


私はなんとかこの２回目も無事の切り抜け、次に繋げる事が出来たのでした。

「おまたせしました、主に用度を担当している××と言います」

「大変お忙しい所を申し訳ございません、○○リコーの○○と言います、この度はお忙しいのにこのような時間を割いていただき誠に感謝しております」

「ま〜どーぞお掛け下さい」

「はい！」

その担当の方は私の予想通りで、営業をしてきた人なら一目で分かるその風格は、もう幾度となくあまたの営業マンに対してきた風格を漂わせ、無駄話を一切させず、要点だけで済ませようとする姿勢がありありと分かる雰囲気をかもしだしていました。

「で？今回のご用件とは？」

「はい！まずは私どもの会社の案内と弊社が扱っております商品のカタログをお納め下さい」

「あ〜、リコーさんですよね、良く存じてますよ！」

「はい！その通りなのですが私どもはそのリコーの販社に当たりまして、リコー商品はもちろんなのですがそれ以外にもオフィスに関すること全般も取り扱っております」

「そうなんですか、すると御社はリコーの子会社に当たるという訳ですか？」

「そうですね！１００％ではありませんがそう理解していただいたも結構です」

「ふ〜ん、で、用件とは？」

「はい、単刀直入に申しますと、御社のような超優良企業とお付き合いをさせていただければと思い伺ったしだいです」

「は〜」

「もちろん御社にはもう既に私どもの様な業者が入っている事は重々承知しておりますが、私どものオフィスに対する力添えもあれば御社のこれからに十分お役に立てると自負しております」

「と言いますと？」

「私どもの強みは、私どもの会社でオフィス全ての問題に対応でき、例えば細かい文具からオフィス家具、ＯＡ機器、ネットワークの構築、業務用ソフトに至るまでのご提案やオフィスのリニューアルまで提案し迅速に対応する体制を整えております。
ですから、こんな業者を御社の数ある業者の仲間として加えていただければ必ず御社にもメリットがあると確信しております。」

「貴方はうちの業者の一つで貴方の会社の様な業務を受け持っている会社をご存知ですか？」

「はい、存じております。」

「それなら話は早いが、その業者はうちの１００％子会社だと言うこともご存知ですよね？」

「はい」

「それを知ってて言っているのですね、ではお宅の会社が入り込める余地が無い事も知っててやっている理由はなんですか？」

「はい、しかしその業者さんはＯＡ機器を持っておりませんし、もしリニューアルになれば数社の業者を相手にしていかなければなりません、弊社でしたらオフィスのどの様なことでも私一人で対応できますのでタイムスケジュールも立てやすく、全てにロスをすることも少なくなりますので御社のような大所帯の会社では必ず必要な業者の一つと確信しております」

「貴方の仰る事は分かりますがしかし実際は貴方が扱っている全てはうちの子会社に投げるのが組織としては当たり前で、もし仮にうちがその子会社を足蹴にしてしまえばその子会社の存在理由も無いし問題になりますよ」

「その通りです、私も御社が問題を起こすようなことは本意ではありません、しかし一社独占では何でもそうですがスキルやその他の面でも低下してしまいます。
そこにもう一社加えることによってお互いがいい方向に向き、延いては御社の為にも利益に繋げていける物と思われます」

「確かに貴方の言われている部分は理解できますが現実問題としてどうでしょうか？あまりにも見えにくいメリット過ぎて、現在のうちの業者で問題が有るならともかくそれほど問題がない現状ではそこに新しい業者を加えていくことの他の業者に与える影響と新しく口座を設けなければならないデメリットの方が大きいのです」

「その部分は私も分かっております、御社ほどの大企業になりますと業者の数が大変多く、現在ではそれを縮小している会社も多くなってきているのも営業をやっていますから身に染みて分かっております」

「そうですよね、貴方は営業なのですから私の言うことは私より良く知っていますよね、これからはもっと厳しくなりますよ！よっぽどのメリットがない様では新しい業者は増やせませんよ」

「仰るとおりだと思います、確かにこれからはもっと厳しくなるでしょう、しかし私ら営業マンはそんなことを言ってはおれません、どれほど厳しくなろうとやって行かねばなりません」

「失礼ですがお宅の会社、リコーは大きいではありませんか、そんなメジャーなメーカーなのですからそんなに大変では無いのではありませんか？」

「いえ、正直に申しまして、私どものユーザーはほとんどが中小企業で占めております、御社のような大企業とのお付き合いはほとんど無いのです、ですからこれからの時代を生きていくにはどうしても大企業とのお付き合いをしていかなければ私どもでも生き残ってはいけません」

「は〜そんなものですか」

「そうなんです、ですから是が非でも御社のような大企業とお付き合いをしていかなければなりません、是非、お願いしたいのです。」

「お願いされてもね〜、では具体的にまずは何をしたいのですか？」

「はい！まずは私の営業スタイルを見て欲しいのです、いきなり何かを廻せ等と申しません、しばらくは私どもの会社の姿勢を見ていただくだけで十分です。」

「は？それはどういうことですか？今一分かりにくいですが」

「はい、もし宜しければ××さんのお手隙な時、またお会いして頂ければ幸いです、そして御社の事務所などを拝見させていただければ・・・・」

「ま〜そんなことで良いのなら別に構いませんが、その時間を他に費やした方が貴方の実績に繋がると思いますよ、まずうちとは無理だと思いますよ」

「いえ、駄目でも結構です、また御社に来社しても構わないでしょうか？」

「そうですね、アポを取っていただければ暇な時でしたら・・・・・」

「××さんの都合の良い時間帯とかがあればお聞かせ願えれば・・・・」

「そんな物はありません、アポを取ってください」

「有難うございました！今日は貴重な時間を割いていただき本当に有難うございました、今日はこれで失礼させていただきます、本当に有難うございました・・・・・」



最初の印象とは裏腹で、相当私の話を聞いていただいてしかも２回目の布石を置いて行けた事は、最初にしては大成功に終わりました。

私は帰社して絶対することがあります。

どうしても取引をしたい会社にはその担当をしてくれた人に御礼状を書いて直ぐ送ることです。

その御礼状はパソコンなどで作るものではなく、絶対直筆で書き、しかも毛筆で書くのです、これをすると今では毛筆の文で書かれたものを貰うことなど珍しく貰った相手は相当印象に残るらしく、次のアポが取れやすくなるのです。


そして私は私の特別な営業方法を次から使える事に不安と期待に燃えるのでした。

電話により担当の方とアポが取れ、数日後多少の時間を割いて戴き、会える段取りが取れました。

私の営業手段は概ねはマニュアル通りの手段を取りますが、私にはどうしても落としたい会社には特別な手法を取り入れ、少し変わった営業方法を取っていました。

その営業のコンセプトは「いかにその相手を喜ばし、笑わせ、誰よりも記憶に残す」

そしてその手法はレベル５まで有り

レベル１・・・相手の名詞から名前の由来を作成し、色紙にして渡す。

結構人というものは自分の名前に無頓着で、しかしあらたまって自分の名前が色紙に書かれ、しかもその名前に由来などと書かれていては誰でも気になるものです。

その由来の根拠は曖昧なものですが一応漢和辞典を用い、名前の一字一字の持つ意味を書き、最後はその全てに私なりの解釈を入れ、総評としてその名前の持つ意味を、極めて良い物という風に書き入れた色紙なのです。

私のこの手法はこれまでの新規営業の中で数回取り入れ、レベル５に達する前にどれも契約を取れた実績があり、成功率１００％なことから自信を持っておりましたが、しかし、その手法はあまりにも手間が掛かる為、やはりここぞと言う時にしか出せないのです、また、それらの成功例は全て中小企業でまだ大企業へは試してません・・・

ですからどうしてもこれを大企業で試した見たいと言う思いもあって、大企業に挑戦した経緯もありました。

しかし何にしてもこの手法は、担当に会う２回目からの作業になりますので、今回のこの一回目のチャンスはどうしても物にしなければ・・・・少なくとも２回目の布石は絶対置いていかねばなりませんでした。

私は大企業のそのまだ見ぬ担当者を頭に浮かべました。

私の様な営業達の話を毎日の様に聞き、そのほとんどの営業マンは軽くあしなわれ、すごすごとその会社を後にする営業マンたちの姿を・・・・・

私は何を考えてもその手練れを攻略する術が思いつかず、そして数日が過ぎアポの取った当日が来たのです。

私は普段よりおとなしめのスーツをまとい、カバンには会社案内とカタログ、そして緊張の為にもようさない様トイレに行って準備万端整え、私の乗る営業車は約束の時間の２０分前に相手先の会社の門をすり抜け、駐車場に止めました。

そして私は社屋の正面玄関の重たく分厚いドアを開けました。

そこにはだだっ広いロビーがあり、正面奥に受付嬢が２人静かにこちらを見てます。

そのロビーにはブースで囲まれた簡易的な打ち合わせ用と思われるボックスが何箇所かあり、そして待合席が数個。

天井は高く、さすがビルメンテナンス業界１位だけあって、そのロビーの隅から隅まで管理が行き届いた、まるでちょっとした高級ホテルのロビーを思い浮かばせるほどの綺麗さで、しかしその高級ホテルとの大きな違いは、この場所は静寂がロビーを包んでいたのです。

私は受付まで歩いて行く時、私の革靴の足音が此処を包む静寂を破った時、私の汗ばんだ手はさらに汗が床に滴り落ちるのでは？と思うほど手は汗でびっしょりでした。


「いらっしゃいませ・・・今日はどの様なご用件でしょうか？」

「は・はい・・・先日御社の用度担当の○○様にアポを取らせて頂き、今日の○時にお会いする約束で参りました○○リコーの○○と言います。」

「わかりました・・・それでは今確認を取らせて頂きますので、どうぞそちらでお待ち下さい」

「は・はい」


私は数あるブースの一つに招かれそこで待つよういわれました。

多分、私の様な初めての営業マンは上階にある会議室まで通されず、ここで全てを済ますのでしょう。


そしてしばらくしてその担当の方がやってきたのです・・・・・

リコーはメーカーと販社は別れており、私は販社の社員で、販社ではメインはリコー商品を扱いますがそれとは別にリコーに無いものでオフィスに関連しているものなら扱っても別にかまわないのです。

私自身が持っているユーザーは細かいのも含めると約１５０件ほどで、その中でもＡ・Ｂ・Ｃと言うようにランクが付けられ、もちろんＡが一番重要ユーザーなのですがそれは１割程度の数で、それ以外はそれほど訪問する価値など無いユーザーばかりで、ですから新規を獲得することは絶対的に必要で、それをしないとノルマをクリアーすることは至難の業になってくるのでした。

ほとんど他の営業たちは即決性の高い小さい会社ばかりを狙うのです。その理由は決定権を持つ「例えば社長」に会える確率が高いからです。

私も最初は皆と同じように小さい会社ばかりを回り、足で稼ぐ営業を繰り返していたのですが、この繰り返しはこのままだと永久に続くのがたまらなく嫌で、それと同じ苦労を費やすなら大きい目標に挑みたい気持ちが日に日に募って行きました。

私の営業ルート上にあり、何時も気になる企業がそこにありました。

その企業は三菱電機ビルテクノサービス。

従業員７０００名を超し、エレベーターはもちろんビルメンテナンス業ＮＯ１の大企業で、もちろんその企業が主に使っている複写機はゼロックスであるのは言うまでもありません。

私が目を付けた所はその企業の研修センターで、その社屋には多分複写機は数十台あると予想され、研修センターだけにそのコピー量は半端な量では無く、もしここに入り込めれば保守料金だけで私のノルマは何もしなくても十分達成できるに余りある金額を拠出してくれるでしょう。

しかし想像は誰でも出来ますが実際はそうは簡単には行きません。

まずはその担当の方に会うことから始まるのですが、大企業と言うものは１回は会ってくれるものですが２回目となると余程の事がないかぎり会ってはもらえません。

ですからこの１回目がものすごく重要な事になって２回目の布石を作らねば、２回目はほとんど無いに等しい物になるでしょう。

また、仮にそれを突破したところで３回目４回目は？それよりも実績に繋げれるかどうかは全く分かりませんし、しかし、もし有る程度、担当と親しくなれたなら実績が出なくともそれを捨てるにはもったいなさすぎで、何年掛かろうとその線は繋げておいた方がいずれは花が咲くかもしれないのです、が、しかしそれを続けるにはもちろんそこの時間を掛けねばなりません、全く実績の出ないことに、いつか花咲くかもしれないことに多大な時間を掛けていくことは私自身のノルマをこなしていくことは不可能に近いことで難しい選択なのでした。



しかし私は取り合えず一回は会ってもらえるのだから、まずは一回会ってそれから先のことを考えていこうと思い電話を掛けアポを取る事にしたのでした・・・・・

私は以前、漫画家をめざし上京、しかしその夢破れ私はある複写機のメーカーの販社に就職しそこの営業マンとして働いていた時の事で、その後の人生にも大きく役立っている経験をさせていただきました。

今回はそのエピソードを書いてみようと思います。

まずは複写機のメーカー事情から触れますが、当時の日本での複写機メーカーは「ゼロックス　キャノン　リコー」がビッグ３で、他にはＭＩＴＡ　コニカ　ミノルタ　などがありました。

複写機メーカーの収益のほとんどは機械を売っての収益と普通は考えておられる方々が多いと思いますが実はそうではなくてその実は「保守料金」と言う物で支えられているのです。

この保守料金というものは、複写機一台につき毎月のコピー枚数×設定金額というものです。

この設定金額というものは毎月平均どれほどコピーするかで変わってきます。

大手企業になればなるほど事務所などの規模も大きく、人員もたくさん居るので複写機一台あたりのコピー枚数が半端ではなく、大手企業の複写機一台でその辺の個人商店や小さい会社のへたをすると１００社以上分のコピー枚数に相当します。

ですから大手企業ほどこの設定金額は低く、小さい会社ほど高くなるのです。

ではこの保守料金とはなんでしょうか？

これを設定したのは開発メーカーであるゼロックスが考案したもので、最初の頃機械の紙詰まりや故障が多く、頻繁に修理以来があり、これではせっかく機械を売っても利益が出ないとして考案したものだそうで、要するに機械トラブルが出ても何年でも只で診てくれる保障料なのです。

複写機が世に出て最初の頃はメーカー側も導入側もそれなりのこのシステムの恩恵はあったのですが時代が進むにつれ、機械も日進月歩でそれほど故障もしなくなり今ではメーカー側がこのシステムの恩恵を多く授かっています。

このシステムはその他の複写機メーカーも真似て全て導入しており、現在に至ります。

導入側も馬鹿ではありません、このシステムに異論を発している方も多く居ますが複写機メーカーが全部このシステムを導入していますし、今や複写機無しで業務をすることも出来ません、ですからしぶしぶ受け入れざるを得ないのでしょう。

上の説明でお分かりいただけると思いますが、ですから多くの複写機メーカーはいっぱいコピーしてくれる大企業ほど自社複写機を導入してもらいたいのです。

現在もあまり変わっていないと思いますが日本の複写機メーカーのシェアーは１位がリコーだと思います。

しかし、複写機１台当たりのコピー枚数が大量な大手企業はゼロックスが独占しております。

リコーやキャノンはシェアーは高いのですが実はコピー枚数の少ない中小企業がほとんどで、利益と言うとゼロックスには全くかないません。

しょせん機械を売っても次の買い替え需要なんて相当先になります。

やはり、毎月毎月入ってくる保守料金がどの複写機メーカーも喉から手が出るほど欲しいのです。

ですからゼロックス以外の営業マンは大手企業に導入してもらう為躍起になっています。

大手企業に導入していただけるのであれば、一時の携帯電話のように機械は只で良いのです、置いてくれるだけで良いと言うのはどのメーカーも同じで実はこれが厄介なのです。

今やどのメーカーも機械の性能に差は無く、ではどこで差を付けるかと言えば次に来るのは製品の値段になりますがこれもどのメーカーも只ならもう何処で差を付けるかと言えば保守料金の値段しかないのですが、ここはそう簡単にいじることは出来ないのです。

この部分はどのメーカーもある種生命線の様な物で、ここを泥試合にすると自分の首を絞めることにしかならないのでここはそうは簡単にはいじれないのです。

では複写機の営業マンは何を武器にすればよいのか？

あらゆる職種の営業は居ますが、良くこう言います。

複写機の営業が出来れば何の業種の営業も出来る！と言います。

雨の日に傘を売るのは誰にでも出来る、晴れた日に傘を売るのが営業だ！

確かにそうなのですがこれはまだいつか雨が降るために！と言う営業文句が出てくる余地が有ります。

しかしこの複写機はその事務所に無いなら良いです、また増設と言うのなら余地が見つけやすいのですが当時でも既に複写機の無い事務所など皆無で、しかも大手企業になってくると新しく事務所を増設すること以外複写機は行き届いています。

おまけにその機械の存在理由は最近は複合機などと言ってますが所詮はコピー以外何者でもなく、多少スピードが速くなったぐらいで大昔から他のあらゆる製品に比べ目を見張るほどの進歩は無く、実際何処の事務所でも一番買い換えない物の一つでしょう。

おまけにこの保守料金システムのおかげで壊れても只で修理できるのですから尚更買い換える必要などありません。

ですから複写機メーカーは買い替え需要のほとんど無い物ですから尚更保守料金に依存しているのです。

しかし大手は只で置けるのだからそんなに難しくないのでは？と言う疑問をもたれる方も居るでしょう。

一度でも営業をされたことが有る方なら分かると思いますが、大手になればなるほど新しく口座を開設することを極端に嫌います。

どうしても必要なものならしょうがありませんが現在有るものを変えること、ましてや以前と変えても何も変わらないのならそんな面倒なことはまずしません。

ゆえに複写機メーカーの営業マンはほとんど武器が無いのです。

しかしそんなことを言っても成績を上げなければなりません！

ゼロックス以外のメーカーの営業マンは毎日新規開拓を求められています。

そうなると即決性の早い中小企業に行かざるを得ないのです。

しかも毎日足で飛び込み、少しでも脈がありそうなところで歌い文句としては、利益が出ているのでしたら税金対策としてリース契約を進め、資産にせずおまけに以前よりコピースピードが速くなり必要でしたら複合機にしてこれから来る時代にも対応していける！と言った具合で勧めていきます。

そんな営業マンの中には大手に挑戦していく営業マンも中にはいて、ドンキホーテのように飛び込んで行くのです。

その様な営業マンは上記にも示したように大手には何の武器もありません、しかし彼らはそんなことは承知で飛び込んでゆくのです。

それは営業の本当の王道「自分を売る！」これしかないのです。


すこし前説が長くなりましたので、エピソードは次回の日記に書きます。

以上の事を踏まえて次回を読んで頂くと良く分かり面白いと思います。



ちなみに余談ですが、コピーと言う言葉を使われるようになったのはリコーの戦略でそうなり、昔は、現在も大手で勤めている年配の方々はコピーすることを「ゼロックスして！」と言っていました。

前回の日記に少し関連していますが！

私は以前、どうしようもないくらい浮気男でした！

ま〜本当にどうしようもないくらい浮気に浮気を重ね、一時には４・５人と同時にお付き合いをしていた時期もあり、もう付ける薬が無いぐらい馬鹿なことばかりを繰り返し、挙句の果てには最初の奥さんに愛想をつかれ、当たり前ですが離婚となったのです。

しかし私はその後もしばらくはその教訓が生かせず、幾度と無く女性とのお付き合いを重ね、馬鹿ばかり繰り返すのでした。

そんな私を友人達は「浮気のホームラン王」「浮気の三冠王」などと揶揄され、世界で一番結婚に向いていない男などと言われ続けてきたのです。

ま〜そんな私が言うのもなんですが、私は断言します。

男は絶対浮気はします！

こう断言すると異論も多々出てきましょうが、実際そう思うのです。

俺は絶対浮気はしない！という方達もいることは確かですが私は思うにその方達は浮気をしないということではなく、浮気が出来る状況に無いだけだと思うのです。

もし、その方達も浮気が出来る絶好の状況であれば浮気はするであろうと思います。

いや！ちがう！それはお前がノンモラルなだけだ！みんながみんなお前のような奴じゃない！と聞こえてきそうですね＾＾

でも本当にそうでしょうか？

そんな状況でしかも相手の女性がバッチリ好みの女性でも本当にその誘惑に抗えるのでしょうか？少なくとも私には絶対無理です＾＾

でま〜話を戻すと私は浮気をすると、やはり、絶対ばれないよう細心の注意を払うのですが必ずばれるのです。

数ある浮気で、ばれる原因はだいたい自分のミスが多いのですが、ミスの一例として、

１、浮気相手と見た映画やＴＶ、また、遊びに行った場所を奥さんとの事と勘違いし喋ってしまうこと。

２、出張と偽って浮気相手と遊びに行き、行った先でカード決済をしてしまいその後明細からばれること。

３、車から浮気相手の所持品が落ちていて奥さんに見つけられること。

４、車の走行距離から割り出されたこと。

５、携帯の消し忘れ。

などなど・・・・上げだしたらキリがないのですが上に挙げた事は一般的にばれる例ですが私が完璧に隠しとおせると思っていても何時かは絶対ばれるのです。

ちなみに私は全部ばれました・・・・・とほほ

しかし私の友人で絶対ばれない奴がいるのです。

私はその友人にばれない方法を指南してもらいましたが、その友人の方法は別にそれほど特別なことでは無く、私のやり方とそれほど変わらないのです。

それでは何故その友人はばれないのでしょうか？

私はあれこれ考えたのですが多分結論として、その友人もばれているのだと思うのです。

私と彼の違いはお互いの奥さんの性格の違いでは？と思うのです。

ただそれを追求するかしないか？ではないでしょうか。

それにしても女性のこの第六感ともいえる勘の鋭さはなんなのでしょうか？

この勘の前では男はひれ伏すばかりです。

現在私はもうそんな元気も無くなり、過去の勢いはどこにいったやらおとなしくなりました。

もう多分その様なことは無いと思います！い・いや・絶対ありません！


そんな訳で、みなさん！浮気をするなら絶対ばれることを念頭において取り組みましょう！

しかし出来うることなら浮気なんてしないほうが身の為です！


この私が言うのですから間違いは無いですよ！＾＾