独身中年・最底辺の日々

日々、何をする気力も起きず、確実に迫っているＸデーからも目を背け続けている。
目的意識も危機意識も欠如しきった状態。頭に浮かぶこともロクなものじゃない。
いや、それでもまだ浮かぶのならマシだろう。何故ならそれはそれで、脳が動いているということの証左になるからだ。

そんな状態でふと、何の前触れもなく昔にあったネット関係での些細な出来事を思い出した。

白々しいですが、あえてＡという人物の体験談ということにしておいてください。

Ａは友達もおらず、日々空虚な日々を送っていた。
そんな時、寂しさのあまり、ふと目にとまったコミュニティサイトへ出入りするようになった。
そこは声や映像をサイト主が直接流し、それに対して訪れた人達がチャット形式で会話するようなものだった。
Ａは別に女との出会いを求めてるわけでもなかったし、異性に対して「あわよくば」という思いを抱いていたわけでも何でもない。ただ単に、何でもいいから適当に会話をしたいだけだった。
事実、そのサイト主は自称三十路の男性であったし、訪れる人達も男性のほうが多かった。

初めてそのサイトで会話して以来、ちょくちょく訪れるようになり、常連というほどではないが名前を覚えらる存在になった。

そして三ヶ月ぐらいが経過したある日、Ａはふと思い立ち数日間の小旅行に出ることになった。

以前、サイト主から聞いていた居住地付近にも移動する予定だったので、ほんの軽い気持ちで「よかったらちょっと会ってみませんか」という趣旨の話をした。別にかわされてもよかったし、本当に社交辞令的な軽いノリだった。

するとサイト主は、意外にもすんなり承諾し、なんだったら泊まってってもいいとのことだった。

逆にＡのほうが驚いて、どう返答しようか答えに困った。

そしてしばらく会話は続いていたのだが、ふとＡが何かの発言をした瞬間、機嫌が悪くなり「俺の住んでる県自体に来るな」とまで言い出した。

Ａには何が何だか全く理解できない。特定個人を誹謗中傷したわけでもないのに。何が彼の発火スイッチだったのか・・・。

その後、少し会話を試みてみるものの、露骨に嫌悪感をにじませた数文字程度の返答があるだけだった。

翌日以降も何回か訪れてみたものの、あきらかにＡの発言には返信しない、無視状態だった。

・・・それ以降、Ａはそのサイトからフェードアウトしていった。



まあ、こんな話はネットの世界には掃いて捨てるほどある小さな小さな話ですね。

後から思えば、そんなことがある以前から突然ヘソを曲げてしまうようなことはよくあったとＡは振り返りました。

そんな時Ａはどうしていたか？

極力サイト主の機嫌を損ねないように努め、発言も恐る恐る差し障りのない、いかにも同感してもらえそうな発言に終始していきました。

孤独感に打ち震えていたＡにとって、サイト主に嫌われ、そこを去らなければならなくなることが怖く思えていたのです。

・・・これも、孤独な人間が非常に陥りやすい精神状態です。
そして突き詰めれば、これはある種の危険な宗教にハマってしまいかねない心理状態でもあります。

幸いＡは早い段階でそのことを悟り、今もなお孤独な生活を続けていますが、何とかハマらないギリギリのラインで孤独と戦っているようです。

くだらない長文、失礼しました。

皆さんは、Ａのような精神状態に思い当たるフシはありますか？
またＡに何か一言あるとしたらどんな言葉を投げかけますか？