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独身中年・最底辺の日々


 ■ 2014/09/11 (木) 生まれの起源


泥酔し、惚けた頭で漠然としていると、何気ない昔の記憶を唐突に思い出す事がある。

今現在そうなのだが、適当につけているテレビでやっていた大家族ドラマを眺めていると、ふとあることを思い出した。

私はかつて三人兄弟だったのだが、下の兄とは7歳違い。上の兄とは9歳違いだった。

自分だけ極端に年が離れていることから子供の頃、母親に「俺は産むはずじゃなかったんじゃないの?」と聞いたことがあった。無論、冗談でだ。

私は子供の頃から斜に構えた・・・実に冷めた人間だったので、この年の差は元よりそういうことだと自覚していたので何を言われてもショックは無い。

もっとも、物心つく前から「お前はいらない子」だと言い続けられて虐げられてきたのならまだしも、貧乏なりに何不自由なく育てられてきたのだから。

母の話では、やはり私を妊娠した時には堕ろそうと思っていたらしい。年齢的なこともあったかもしれないが、経済的なことが一番の理由だったと聞いた記憶がある。

だが、私の母方の祖父に「せっかく出来たモンを堕ろす奴があるか!金ならワシが出してやるから産め!」と怒られたらしい。夫婦揃って怒られたのは、これが最初で最後だと。
母方の祖父は私が小学校に入学する前に急死した。
若い頃は相当な遊び人で、寅さんのようにテキ屋で各地を周りながら大の博打好きだったらしい。しかし下戸で、酒の臭いを嗅いだだけで倒れるほどだったそうだ。
更には、母が若い頃にバイトしていた店に娘の給料を前借りに来ていたりもしたらしい。
典型的な道楽人生。家族にもさぞ憎まれていたのだろうと思えるが、母は祖父のことを心から慕っていた言葉しか出て来ない。昔のご多分に漏れず大家族の子供の中、母が一番祖父に性格が似ていて可愛がられていたと言っていた。

人間というのはそう簡単なものじゃなく、どんなに真面目でも人に嫌われる奴もいれば、どうしようもない奴でも何故か人に好かれるなんてことが往々にしてある。

祖父は道楽者ではあったが、それによって培われた人間関係の中から、無意識のうちに人の心を得る術を身につけていたのだろう。



それはそうと、ここまでの話が真実なら・・・まあ、話を盛っている部分は多分にあるだろうが、祖父は私の命の恩人と言うことになる。

子供の頃、年の離れて生まれた理由を否定されるより、このエピソードのほうが生まれてきた奇跡性を感じてむしろ好きだった。

そう、まさに生まれてきたことは奇跡。

そんな祖父なら、酒に溺れて人生を持ち崩した中年のあしらい方も熟知していただろう。たとえ自分の孫であっても、俯瞰して見ることができたのではないだろうか。

いまもし祖父が私の前に現れたら、どういった言葉を私に投げかけるのだろうか?


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内容

サイコロ 久しぶりにきました^誰しも、この世にせいを受けるということは奇跡に違いないということですね。お祖父様とのエピソード、実に良い話です^ (14/09/18 22:50)
あっきょ よい話です。 (14/09/12 23:54)
アルファルファ 人生いろいろあらーな。 (14/09/11 18:52)


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