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ヒモと呼ばないで

9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。

 ■ 2004/01/01 (木) 人生最悪の年越し


「さっさと開けろ、ゴラァ!!」

次の瞬間、ドアを蹴破らんばかりの衝撃音。
それがもう一度。

退出を確認したあと、すぐドアを施錠したのには理由がある。
その日の売り上げを金庫に搬送する警送業務中だったからだ。

こういう訳の分からない輩がいきなりドアを破って、そのお金を襲わないように施錠するのだ。
この怒鳴り声を聞いたとき、俺は施錠していたことを本当によかったと思った。
もし、開いていたら、と考えると恐くなった。
当たり前だろ。

しかし、今回の狼藉者は忘れ物を取りに戻ったというバイトだった。
当然、悪意はない。
怒鳴ったのも、施錠しているドアを力任せに開けようとして、自分で手を痛めたことに腹が立ったということらしい。
回りに同じ職場の友人がいたことも、彼を強気にさせた一因かもしれない。

でも、俺にどうしろっていうんだ。

少しして、その課の責任者らしき女性が警備室にやって来て、こう言った。
「でも、彼ね、手がこんなに黒く内出血しちゃったんですよ」
「(上の状況を説明しても)でも、それは立前でしょ。忘れ物を取りに来るくらいいいじゃない。」

…どうやら問題になるようだ。
彼女は警送が警備業で最優先項目だということがわかっていないようだ。
もちろん俺は悪くないという自信はあるが、相手はなんと言ってもご贔屓のお取り引き様だ。

どうなるんだろう。
クビか。
まさか。
でも、全く可能性がないとは言えないかな。

…やれやれ、なんて大晦日だ。
ただでさえ、閉店時間が変則になって忙しくて、目も回りそうな日に、最後の〆がこれだよ。
テレビを1秒も見ることなく、夜も11時過ぎまで働いたっていうのにさ。

でも、さらに悪夢は続く。

帰ってきてから、思い出した。
明日の出店時間を確認してないよ。
変更になったのまでは知ってたけど、詳しくは前日に説明するって言ったじゃん。
ちゃんとやってくれよ。
俺まだ、始めて正味1週間なんだからさ。

しょうがない。
12時に行けば間に合うだろう。
…いや、11時半だったかな。
もういいや。
12時だ。
決めた。
もう知らんよ。

それでもついてない日は、尽くついてない。

やっと帰ってくれば、妻は紅白だけは見るとか言いだして、草臥れ果てた体と心のまま、自分で蕎麦を茹でるはめに。
ほぼ完成の段階で、「あたしがやる」と割り込んできたはいいが、彼女はつゆをかけただけ。
でも、そのつゆが「ぬるい」。

それを伝えると、今度はいきなりむくれて口を聞かない。

仕方なく、一人で掻き揚げを1杯、エビを1杯、計2杯の年越し蕎麦をすする。
っていうか、やけ食いだ。

そして、蕎麦を食べ終えたところで年が明けた。

…こんな年越し有りか。

明日は、朝8:30に義母宅で新年のご挨拶会。
俺は仕事で夜遅いので、2日の休みに行くと言っても許されず。

正味3時間睡眠で、無理矢理これに参加したあと、9時間拘束の目も回るような忙しい時間を過ごすんだ。

…こんな新年有りか。

ふざけんな。




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