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ヒモと呼ばないで

9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。

 ■ 2013/03/20 (水) 蜜と毒


研修休み。

っていうか、その前に全国的に休みなんだってさ。
何で休みかも知らん。
そんなことどうでもいい。
俺が休みだって事が全て。

そんな休日オーラ全開で緩む俺に、真っ向勝負を挑んでくるいつもの影。
「これから○○(息子)の友達が家に遊びに来るよ」

ただそれだけのこと言うのに、何なんだ、その威圧感。
だから、どこの剣豪だって聞いてんだろ。
もういっそ、斬ってみろよ。

・・・。

家を出る。

歩く。
行く当てはない。

まっすぐ図書館へ。
ホームレスか。

休日にしては空いてる。
閲覧席にも座れた。

前も両隣も、真剣な顔。
蛍光ペン、電子辞書、問題集・・・。
前はよくわからんが、資格の勉強らしい、他は年恰好からして受験生か。

その真ん中に、髭も剃らずビーニー被ったままの休日ジジイが、緊張感の欠片もなく居座る画。

・・・自分でもムカムカする。

それをごまかす様に、今更ここにきてからipodのイヤホンを耳にねじ込む。
音なんか出てない。

「OUT(下)/桐野夏生」「冒険の国/同左」「錆びる心/同左」「風に舞いあがるビニールシート/森絵都」「悪人(上下)/吉田修一」「僕は勉強ができない/山田詠美」、それに何故か新書の「戦略がなくなる日/小山和伸」

ちょっと前のベストセラー小説を積み上げる。
そのドサッ、っていう音に、周囲の視線が一瞬集まる。

怖くない。
こちとら、剣豪と一勝負してきたばかりだ。

・・・。

それにしても、重たいのにこんなに持ってきて、バカじゃねえの。
読み切れるわけないじゃん。

考えるまでもなく(上)巻を読み終えた「OUT」を読めばいいんだろうけど、その厚さに貫録負け。

で、「薄いの」を手に取る。
となると「冒険の国」で即決・・・なんだけど、これも前記と同様、1ページ目から読み始める重さがある。
無意識に「薄いんだから、最後まで読んじゃえよ」的プレッシャーを自分にかけてしまう。

全ての本をペラペラ捲る。
・・・なんだ、「風に〜」は短編集か。
更に巻末の解説に軽くそれぞれの作品のサワリまであるし。

それを参考にその中の「ジェネレーションX」を読む。

・・・すごい、面白い。

続いて、「守護神」、「器を探して」を読む。

・・・すごい、面白い。

他に言葉が見当たらない。
 
・・・もう、5時過ぎか。
家を出たのは何時だったっけ。
飯食ってからだし、2時近かったかな。
・・3時間も経ったのか。

まるでワープだ。
この小説の世界に入り込んで、あっと言う間に夕方だよ。

・・・。

恥ずかしい。

実は、ここで「小説書いてみたら」っておだてられて、その気になってたんだ。
で、その準備として、まず既存の作品を読んでみようなんて思って、bookoffの105円コーナーでこれらを買い込んできたってわけ。

それでどうだよ。
身の程知らずも甚だしい。

これが105円で買える世の中に出せるものなんて、俺に書けるわけがない。

・・・。

ほんの数時間前まで「OUT」は蜜だった。
「捨ててたまるか」まで言わしめた、甘い甘い蜜。

それがどうだよ。
自分も「書く」側だったらってちょっと想像しただけで、一瞬でトリカブト級の毒になっちまった。

はい、タップしました。
ギブアップです。
無理無理。
やっとバイトの警備の職にありついた高卒の46歳に、人様を楽しませる話なんて作れるわけがない。

・・・。

変な夢さえ見なければ、これらの本はまた「蜜」になりうる。

「風に舞いあがるビニールシート」の「糖度」は低いけど、人の修羅場や陰惨さを描いた作品なんて掃いて捨てるほどあるはず。

バイト警備だって、105円くらい出せる。
それで、ワープ出来るんだ。
時間を止めて、その世界に入り込んで、「まだ俺はそこまで堕ちちゃいない」って思い込めるんだ。

その蜜を失くしたくない。
その蜜を毒にしたくない。

恥ずかしい。
小説を書こうとしてたなんて。

危ない危ない。
もう少しで毒殺されるところだった。




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内容

B級主夫 みなさん、コメントありがとうございます。「売れなきゃ」「生計成り立たなきゃ」ではなく、みなさんの期待に応えられそうもないってことです。この日記を楽しんでくださってるなら、これからもそうして下さい。ご期待に添えるかわかりませんが。でも、お褒めの言葉、嬉しかったです。ありがとうございます。 (13/03/21 02:50)
めとろん かく言う私も最近は仕事が忙しいのだのなんだので暗礁にのりあげていたので、ここでえらそうに言った限りはまた再開しますわー。一日は長いもんね、アメーバピグやるひま有るんだから書けるはずだわ;;; (13/03/21 02:36)
めとろん 文章力に自信あるとか、ストーリーに自信あるとかそれぞれだと思うけど、ただ漠然とした自信とじっさいやってみてどうかは違うんです。全てどの道も通ってから結果としてさっき書いたような、売れたいとか認められたいとか、プロとして食べていけないだろうか、とかかんがえるんじゃないかな。順番違うと思う。 (13/03/21 02:33)
めとろん 私は小説書いてますよ。そういう考えは持ってないなあ・・・売れなきゃならないとか、認められなきゃならないとか、それで生計成り立たなきゃ失敗だとか・・・そういうのはないです。自分が確かにここで生きて考えた証拠、自分はどんな人間かが意識無意識に関わらず表現される。 (13/03/21 02:29)
腐敗官僚 「ホームレス中学生」って自叙伝を書いたお笑い芸人がいるじゃんw 彼は数億円の印税があったそうな…  (13/03/21 00:37)
ぱぱぽみゅ 最初から諦めちゃダメだよ、腐敗官僚氏がコメントしてたように間違いなく才能はあるでしょう、それといきなり原稿用紙に書いた物が商品(本)になるわけじゃないから(担当が推敲してくれるよ)、というわけで頑張って下さい。 (13/03/21 00:03)


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