ゴール前直線。

「ビデオー！！ビデオ壊れたー！！ビデオ直してください！！」
彼はそう叫んだだけだ。



毎週、土日のどちらかは楽しいお出かけで、もう一日はお留守番。
私も兄ちゃんもいない家で
10時ツタヤでビデオを借りる
11時イズミヤの無人レジでお菓子を3つ買う
12時お昼ご飯をレンジで温めて食べる
1時用意してあるプリントで勉強
4時近くの山までランニング
6時お風呂
このメニューを黙々とやる
といっても残りの時間もパソコン、ゲーム、音楽鑑賞と楽しく、結構充実しています。



問題は突発的に例外が起こった時です。
【大切にしていたビデオが壊れた】
ただそれだけの事。
家は角地なので通行人が時々通ります。
外に出て、道行く人に彼は必死で頼んだんです。
「ビデオ壊れた、ビデオ治してください」
引っ張って家に入れようとしたんです。この物騒なご時勢にそりゃ通行人は怖かったんだろうと思います。



一方家に入ってビデオをなんとか修理しようとする人も現れました。
誰が呼んだのか警察が来て、職務質問をしてみて事情が分かったようです。



警察官がいうには
「今まで、地域生活にこんなに不自由していた人が身近にいたとは気づきませんでした」
「警察が取り上げるのは事件に対する特記事項だけなので、過去問題も起こしておられない方の事情は残してないんですよ」
「これを機会にこの子がここに住んでいるという事を当局も把握して、困ったときはサポートしていきたいです」



近辺5軒に謝罪に行きました。
警察の説明が良かったと思われ、近所の人もよく理解して下さった様で、私が伺った時には
「地域で一緒に生きていくんだから、自分達も何か手助けできたらいいなあ」
と全員言ってくださいました。



ま。今日という日は有ってしかるべき日だったという事で・・・