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ヒモと呼ばないで

9年ぶりに帰ってきました。誰か助けて。

 ■ 2003/12/09 (火) 書類


午後1:00頃 洗濯物を干す。
本当はその前に、洗濯機そのものを掃除したかったが、確かに買って置いたはずの洗濯機カビクリーナーがどうしても見当たらず、結局そのまま洗濯機を回したことをまだ少し引きずって気分が悪い。

部屋に戻る際、郵便受けをチェックすると、妻宛のダイレクトメールや手紙に紛れて、それらより少し大きめの茶封筒があることに気づく。
…採用が決まった会社からだ。

急いで開けてみると、A4の紙が5枚。
人事本部からの研修案内に始まり、地図、誓約書、身元保証書、それに採用通知だ。
採用通知には、入社時に提出する書類や持参するものについての記載もある。

誓約書(警備業法上必要)、身分保証書(連帯保証人署名)/誓約書、住民票、身分証明書(警備業法上必要)、銀行の通帳、郵便局の通帳、印鑑、…。

このうち、最初の2枚は同封されていたもので、ここに署名捺印するだけで事足りるが、後のものはあらためて入手しなくてはならない。

「なんだこれ…面倒くせーな。」
「…なんでこんなにあるんだよ。」

思わず口をついて出る。

それでも不明な点はネットで検索したり、直接会社に問い合わせたりしながら、コンビニでのコピー取りから始め、役所の出張所、郵便局へと駆け回り、何とか済ませた。
後は、本籍地のある区役所から「身分証明書」が届くのを待つばかりだ。

交通費受け取りのための口座を郵便局で作り終え、そこを出た時には、もう4時近くになっていた。

これでは丘陵まで行くのは無理だ。
仕方なく、某都営霊園〜多摩湖自転車道路のコースで1時間以上歩く。

いつもよりもかなり速いスピードで歩いた。
途中、おばさんや、学生の自転車を何度も追い越した。
そんなに速く歩く必要など無いのに。
気持ちに余裕がなかったのだろうか。

その後、駅で妻と待ち合わせ。
彼女の顔を見た途端に、連帯保証人が「2名」必要なことを急に思い出す。

帰る途中、またしても義母の家に立ち寄り、連帯保証人に署名捺印をお願いすることに。
義母は快諾し、夕食の準備を一旦止めて、丁寧に書いてくれた。

「こういう書類書いたりしてると、やる気が出てくるでしょ。」

彼女はそう言って俺と目を合わせようとするが、俺は、愛想笑いするのが精一杯。

彼女も分かって言ってるんだ。
俺がそんな男じゃないことを。

だが環境が変われば、それに連れて俺の考えも変わるとタカをくくっている。

「でもね、お義母さん、それは無理ですよ」
「あなたがどう考えようとも、あなたの娘は、こんな男が好きで、こんな男の子供を欲しくてたまらなくて、こんな男の家に自分から転がり込んできたんですよ」
「娘だけじゃない、あなたの孫も、今の俺で満足してるんですよ」

俺は心の中で、強く毒づいた。
そうしないと、本当に彼女の思惑通りに変わってしまいそうな気がしたから。

…最低だな。
帰る途中、ちょっと「月がきれいだね」と言っただけで、寒い中、足を止めてそれを一緒に見上げてくれる妻に、謝った。
また「心の中で」。








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