放蕩騎士の徒然語り。

　道化の顔と、隠者の顔、泣き崩れる敗者の顔。
　私は３つの顔を持っている。
　仕事中の私は隠者だ、話をする気力も無く、ただ陰鬱に沈む。
　友と居るときの私は道化だ。ねがわくばこの姿が本当だと信じたい。
　されど時に泣き崩れる敗者の顔が出る。
　打ちひしがれたこの顔が　私の本当の顔でなどあるものか！
　

　私は道化にして騎士だ。
　我が心に勇気あれ。社会に慈悲のあれ。

　ううむ、仕官先が見つからぬ。拙いことに応募しようにも要求スペックが高かったり、そも先がなかったりで行く場所がない。
　さらにさらに拙いことには、首尾よく仕事をみつけることができても、そこで仕事を続けられるかが疑問に思えて仕方ない。


　甘え？まあそうであろうな。だが恐怖や不安と言うのは道理で押さえられないから不安と言うのだ。
　
　最近　人が　働いてるのを　見るのすら　嫌になってきた。
　声が　聞こえるのが　嫌になってきた。
　

　一粒で心が晴れやかになる薬とかないかな。合法なやつで。

　よく言われることに、
「勤務態度はいい、勤務態度はな……」
「真面目にやっているのは解る……遅刻もほとんどなく、無断欠席は一度も無い……なのになぜここまで仕事が出来ない？」


　残念なことにオフにマニュアルを読み込んでもこの様に御座います閣下。

　硝子の城に住み、琥珀の肌をし、人の喉を愛撫する。その離れがたき女神の名をスコッチと言うなり。
　だが彼の女神の御技をもってしても、我が心浮き立つこと叶わじ。




　思うのだが、このまま首尾よく仕事が見つかるだろうか？いや、見つかったとして、仕事を勤め上げる事ができるだろうか？多分、また、「無能め！貴様は要らぬ！」と手紙がくるのやもしれぬな。
　
　

　ああ、そうだな。私に、生きている価値は無いのだろうな。

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　　　　本日も脳内に異常ありませんでした！



　自室か、資格講習所の自習室か街、其処以外にはいっていない。自宅警備にはなれぬが定め。家族が苦手が故に。

　無価値と無気力の狭間に我が牢獄あり、其処には我と、我が十年の知己在り。名を不安と言う也。
　牢に訪れる僧侶あり、その名を希望と人の言う。されど彼の者の言葉、我の心震わせぬ。
　牢に聞こえる神の声、友からの手紙と人の言う。
　牢に木魂する悪霊の声、其の名もおぞましき市井の情報（ニュース）と呼ぶ。
　
　我が牢より出でる時、何時のことなりや。




　
　テレビを、新聞を見るたびに心の温度が下がり行く。

　運命よ！宿命よ！私は無価値で、劣った存在だ。願わくば、この私に、一片の慈悲を！

いかんな……斯様に意気が上がらぬとは思わなかった。
惰性だ、今の私は……。惰性で資格講習を受け、惰性で食事をし、惰性で仕事を探す……。


今の私は何なのだろうな？塵か……ああなるほど私は……。

　現在、仕官の足しになればと思い、医療事務の資格習得講座を受けておる。精神科の事務員ならば女性陣の来ても無いと聞く、そこでも狙ってみるかな。
　私は手先が器用なほうではなく（工業系アウト）運転が得意でもなく（運送系アウト）……事務か店員、営業しかないわな……。
　
　
　
　
　だが、私に出来るか？あのややこしい薬の名を覚え、カルテ管理をすることが、果たしてライバル（男性も多い）を抜いて首尾よく仕官することが出来るであろうか。

　今日、支店長殿に呼び出されてな。今月一杯で（つまり明日で）傭兵の契約を打ち切るとのことだ。
　さて！！かくてまた無位無官の身となったわけだが、これからどうしたものか……。
　私に何が出来る？
　先日、２０も半ばを過ぎてしまったこの身に。

　誕生日であった。かくてまたおめおめと生き恥を晒し、２６となってしまった自らへの慰めとして、いつもより２００ほど高いバーボン「オールドクロウ」を買う。
心の沸き立つ事が無くなって久しい。


我が心を癒すは火酒と音曲、書物に孤独。あとはいくばくかの悪趣味だ。


　なに、恋愛だと？
　私はサークル在籍中数え切れない程女性陣からの愚痴を聞いた。其の殆どは付き合っている男性陣に対するものであった。そして確信したのだ、恋愛とは揉め事の父親だと。そして私自身が斯様な事に向いてないと。